2019.9.16 Nino Leitner
FX9の発表とインタビュー(記事はこちら)に続き、FX9のハンズオンとレビューをレポートする。なお、レビューに使用したカメラは試作品のため、最終のものではない。 Sony FX9 IBCに先立ち、ソニーはロンドンでFX9フルフレームカメラのハンズオンイベントを開催した。 2日間のイベントで、プリプロダクションのカメラが提供され、開発者の説明もあった。また、イーストロンドンのスタジオで実際に撮影する機会もあった。 他のメディアも同席して、新しいFx9を試した。興味深かったのは、フルフレームのFX9にソニーの高速ハイブリッドオートフォーカスが搭載されていることだ。これは、実際にはキヤノンのデュアルピクセルオートフォーカスと同等(またはそれ以上)の性能がある。顔を認識して登録し、絞りが開き気味でも焦点を合わせ続けることができるのは驚くべきことだ。 さらに、FS7に比べて感度が大幅に向上している。もちろん、フルフレームセンサーは、より浅い被写界深度とより広い視野を持つ。FX9は6Kセンサーが搭載されており、4Kにダウンサンプリングしている。後日6K出力が追加されることを期待したい。 関連商品 フジヤエービックのショップサイト SONY PXW-FX9(本体のみ) 画像のレンズは付属しません ※2020年1月発売予定 SONY PXW-FX9K(キットレンズ付属) ※2020年1月発売予定
続きを読む2019.4.24 Jakub Han
FilmHEROは、ロイヤリティフリーのプレミアム映像素材を提供する、新しいオンラインプラットフォームだ。月額29ドル(12ヶ月の期間付き)で、12,000本以上の4K 映像素材に無制限にアクセスできまる。 Example of stock footage. Source: FilmHERO 映像素材を提供するオンラインサイトはすでに数多くあり、その多くは定額制をとっている。ユーザーは一定の料金を支払うと、全ての映像素材にアクセスできる。最近発売されたArtgridもそうだし、またFilmHEROの場合も同様になっている。 FilmHEROは、撮影監督のDavid Baumber氏とHelen Fields氏によって2019年4月に発足した。このプラットフォームは、世界規模の映像素材サイトであると自称しており、4K以上の解像度で12,000を超えるビデオクリップを提供している。同社は映画品質と述べているが、すべてのクリップはREDデジタルシネマカメラで撮影されている。 クリップは、ProRes、DNxHD、H264を選択でき、またグレーディングされたものかグレーディング前のものかも選べる。映像は完全にロイヤリティフリーで、すべての用途に使用できる。クリップはパックで分類されており、すべてのパックには同じ被写体で、異なった角度のものが用意されている(通常5〜20クリップ)。 FilmHEROは、毎週何百ものクリップが追加されており、ユーザーは追加費用を払わなくても、最新のクリップを見ることができる。また同社はユーザーから映像ニーズにのリクエストを推奨しており、これに基づいて新しい映像素材が追加される。 Example of stock footage. Source: FilmHERO FilmHEROの特徴は非常に競争力のある価格設定。月額29ドルですべての映像素材へ無制限にアクセスでき、すぐに利用することができる(6ヶ月の期間付き)。FilmHEROのサービスは始まったばかりで、今契約すると15%の割引が適用される。即ち月額25ドル(6ヶ月間で179ドル)となっている。特定のパックのみを探している場合は、1パックを79ドルで購入することもできる。 しかしコンテンツ作成者がこのプラットフォーム用のコンテンツを作成するのはまた別の側面だ。映像素材の価格は過去数年間で大幅に下がっており、今後もこの傾向は続くだろう。映像素材のユーザーにとっては喜ばしいことだが、これで生計を立てている映像素材のクリエーターにとっては厳しい状況となるだろう。 Example of stock footage. Source: FilmHEROFilmHEROの映像素材は現在150カ国以上で購入可能。ライセンスに関する詳細は、FAQセクションにある。
続きを読む2019.3.28 Jeff Loch
Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2は、URSA Mini Proの新バージョンでcinema5Dでも既に紹介している。このカメラは今月初めに発表され、最初の映像がはじめて公開された。 野生動物の映像 Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2は、まだ予約注文の段階にある。しかし選ばれた映像クリエーターに初期ユニットを送ったようだ。野生生物の撮影監督、Garth De Bruno Austin氏もその一人。彼はURSA Mini Pro 4.6K G2のスローモーション機能を紹介するビデオを投稿している。このビデオはシグマ18-35mmと70-200mmのレンズを使い、Blackmagic RAW 4.6K / 2Kで撮影されている。映像は毎秒120(4.6K)と300(2Kのトリミングセンサー)フレームで撮影されている。 撮影された映像は非常に美しい。もちろん、Garth氏は非常に有能な映像カメラマンで、そして撮影場所や撮影された動物は彼ならではのものだ。スローモーション映像では解像感が高く、他のシネマカメラのように柔らかい印象ではない。象や芝生の細部も、モアレやその他の不要な効果は筆者には確認できなかった。また、Blackmagic Color Science 4は、演色性が大幅に向上したように見える。肌の色合いはとても魅力的だ。 URSA Mini Pro 4.6K G2の更なる映像サンプルが待たれる。 Image courtesy of Blackmagic Design URSA Mini Pro 4.6K G2の主な仕様 オリジナルのURSA Mini Proはすでに内蔵NDフィルター、XLRオーディオ、そして多様な記録フォーマットを備えたカメラだが、URSA Mini Pro 4.6K G2はこれらに加え次のような新機能を持つ。 super35mm 4.6Kセンサー 最大60 fps、スローモーションは4.6 K/120 fps、4K DCIでは150 fps、HD Blackmagic RAWでは300 fps ProRes 4444 XQ、ProRes 4444、ProRes 422 HQ、ProRes 422 LT、ProRes 422 LT、およびConstant Bitrate 3:1、5:1、8:1、12:1のBlackmagic RAWをサポート。 4.6K、4K、Ultra HDおよびHD解像度でのProRes 422プロキシ同時記録 15stopのダイナミックレンジ 2、4、6stop減光のIR補正付きNDフィルター内蔵 EFマウントを標準装備。PL、B4、Fレンズマウントはオプション デュアルC-Fast 2.0とデュアルSD / UHS-IIカードで無制限記録 高速USB-C拡張ポートで外部SSDまたはフラッシュディスクに直接記録 ファンタム電源付きデュアルXLRマイク/ラインオーディオ入力、12G-SDI出力(カメラステータスオーバーレイでモニタリング可能)、ビューファインダー電源用の独立したXLR 4ピン電源出力、ヘッドフォンジャック、LANCリモートコントロール、標準4ピン12V DCなどの電源接続 4インチ折りたたみ式タッチスクリーンモニター DaVinci Resolveフル機能同梱 フジヤエービックのショップサイト Blackmagic Design Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2
続きを読む2019.3.18 Jakub Han
キヤノンの8Kシネマカメラで撮影した映像をTouTubeで見ることができる。外部レコーダーを使用し8K RAWで撮影、宮崎県高千穂の魅力を伝えている。 昨年11月のInterBEE 2018年で、キヤノンは8K対応のプロトタイプシネマカメラを展示した。(インタビュー記事はこちら) このカメラは同社のC300 Mark IIの筐体が使われており、完成度の高い仕上がりとなっている。 Canon 8K cinema camera rig. Source: Canon このカメラを使用して、同社は8Kシネマカメラの画質を紹介する短編ビデオを公開した。 「Roots of Japan~神話の源流 みやざき~」というタイトルのビデオで、宮崎県高千穂の観光名所と文化を紹介している。このプロジェクトは、宮崎の自然の美しさと文化遺産を保護し、観光を促進することを目的に、宮崎県とのコラボレーションで実現した。高千穂神社や夜神楽、天安河原、日之影町の酒蔵などが収録されている。 このビデオは、広角から望遠まで数多くのキヤノンEFシネマレンズが8Kカメラで使われている。残念ながら、YouTube版では4K解像度でしか見ることができないが、その実力は伺い知れるだろう。キヤノンによると、8K YouTube版は後日公開される予定とのこと。 Photo credit: Canon global 同社はこの8Kシネマカメラに関する技術的な情報を開示していないが、センサーに関してはSuper35mmサイズで解像度は8192×4320ピクセルとされている。発売時期や価格に関しても未発表だ。 InterBEE2018でのインタビューで同社は、8K記録はカメラ内部では不可能で、外部の8Kレコーダーで記録すると述べている。今回の制作ではどのような外部レコーダーが使用されたのかは不明だが、下の写真(オリジナルの写真をクローズアップ)では4台の4Kレコーダーが使われているようだ。このビデオの撮影を担当した株式会社フルスコアの代表取締役 嶋田 一郎氏は、8K RAWで撮影したと述べている。 The 8K RAW recording rig. Source: Canon キヤノンのプレスリリースはこちら。
続きを読む2019.1.30 Florian Gintenreiter
前回から3回にわたってFinal Cut Pro Xでのファイルの取り込みについて解説しているが、今回はその第2回。第1回では基本について説明したが、今回はもう少し詳しく説明しよう。 コピーかラッピングの変更か 前回はFinal Cut Pro Xでカメラの記録メディアから任意の保存場所に映像ファイルをコピーすることを説明した。しかしこの場合、カード上のファイルの全く同じ複製が作成されるとは限らない。 例えばキヤノンのDSLRのmp4のようなファイルフォーマットならそのままコピーされるが、ソニーのSxSやXQDカード、あるいはキヤノンのXFフォーマットのようなフォーマットは異なった扱いをされる。即ち、Final Cut Pro Xはそれらを.movファイルに再ラップするのだ。 注意:Final Cut Pro Xでは、ほとんどのMXFファイルを直接読み込むことができる。この場合、.mxfファイルをインポートしてもFinalCutProXはそれを再ラップすることはない。 再ラッピングとは、Final Cut Pro Xがmpg4でエンコードされた映像ファイルをMXFコンテナから出し、QuickTimeコンテナに入れることを意味する。このプロセスで、映像ファイルが再エンコードされることはないので、画質が低下することはない。 ここは重要なポイントだ。 たとえば富士フイルムX-T2で撮影されたファイルのフォーマットの中には、再ラップせずに任意の場所にインポート(コピー)されるが、バックグラウンドでFinal Cut Pro Xに適したフォーマットに変換されるものもある。 つまり、mp4をProResにトランスコードしているので、ファイル容量が大幅に増加する。なぜFinal Cut Pro Xが特定のファイルに対してそのようなことを行っているのか定かではないが、特定のカメラで作成されたクリップに関連していると噂されている。理由をご存知の読者がおられれば、お知らせいただきたい。 使っている編集システムがオリジナルのカメラメディアに対応できれば、このトランスコードをオフにすることができる。バックグラウンドタスクウィンドウの左上にある丸いアイコン(表示するにはcmd + 9)をクリックして最適化メディアの作成をオフにする。 最適化されたメディアがすでに作成されている場合は、ブラウザでイベント(メディアが含まれている)を選択し、Menu/File/Delete generated Event Filesに移動して最適化メディアを削除し、OKをクリックしてProResファイルを削除できる。 アーカイブを作る カメラの記録メディアからファイルをライブラリに直接インポートする代わりに、Final Cut Pro Xで作成することもできる。Macに接続されているカメラの記録メディアを選択して、インポートウインドウの左下にあるCreate Archive…ボタンをクリックして、カメラアーカイブを作成する。 Final Cut Pro Xは、いわゆるバンドルファイルを作成する。これは単一のファイルのように見えるがすべてのファイルを含むフォルダのようなもの(バンドルファイル)だ。 その内容はユーザーには表示されないが、アイコンを右クリックまたはControlキーを押しながらクリックしてShow Package Contents…. を選択すると表示できる。ほとんどのMac OSアプリケーションはそのようなバンドルファイルで構成されており、Final Cut Pro Xライブラリファイルもそのようなバンドルファイルだ。 記録メディアカードからアーカイブを作成するとき、カードの内容を1つの管理しやすいアーカイブファイルにしたい場合に便利だ。これは、たとえば、DITを実行している間にバックグラウンドで行うことができる。 ヒント:メディアをFCPXにインポートする前に、まずすべてのカードからカメラアーカイブを作成することを強くお勧めする。これについては次回詳しく解説する。 FinalCutProX Create Camera Archive… アーカイブからFinal Cut Pro Xにメディアを読み込むには、「Import Media」ウインドウから選択してアーカイブファイルに移動するだけで良く、読み込むクリップが物理的にカメラカードに接続されているかのように選択できる。 カメラの記録メディアのバックアップ – ルートディレクトリとフルフォルダー構造 撮影後にカメラカードをハードディスクにコピーするのは一般的な方法だが、これが適切に行われていないと事故につながる可能性がある。 リーダーとディスクはUSBケーブルやThunderboltケーブルで接続されているが、これらのケーブルが緩んでいたり接続が悪いとコピー中にファイルが破損する可能性がある。したがって、Hedge for MacやShot Put Proなど専用のアプリを使用することが望ましい。これらのアプリは、コピーされたすべてのデータを検証し、複数の場所に同時にコピーすることも可能で、高速に2つ以上のバックアップを作成できる。コピー後にレポートの生成も行う。 ヒント:専用の有料アプリを使いたくない場合は別の方法もある。Blackmagic DaVinci Resolve(無料版でも)には、クローンツール(Resolve 15のマニュアルのページ233)という機能があり、CRC 32またはMD 5チェックサム検証を使用してカメラカードのクローンを作成できる。 専用のアプリを使用したくない場合は、ハードディスクに少なくともバックアップするすべてのカード用のフォルダを複数作成し、それぞれを別の場所に保管するのが望ましい。 ヒント:これはデスクトップにあるファインダー内のファイルを、保存する場所までドラッグすることで実行できる。ドラッグしている記号の横に小さな緑色の「+」が表示される。カードには「名称未設定」という名前が付けられていることが多く、その場合デスクトップ上に作成されるフォルダにも「名称未設定」という名前が付けられる。フォルダに適切な名前を付けておくとよいだろう。 Root folder of a Sony XQD Card from an FS7 カード構造を完全にコピーすることは非常に重要だ。一部のNLEでは、メタデータとフォルダ構造がすべて揃っていないフォルダからはフッテージを正しくインポートできない場合がある。カードからすべてをコピーすることで、事故の可能性も低くなる。 ヒント:不完全なファイル構造のカードや、HDDにコピーしたファイルが完全なものでなかった場合でも、Final Cut Pro Xは単独の.mxfファイルや.mp4ファイルを読み込むことができる。 Final Cut Pro Xで読み込めない場合は、無料のFFMPEGや他のサードパーティ製ソフトウェアのコンバータを試してみるとよいだろう。 カメラカードを正確にコピーするもう1つの利点は、後でそのフォルダからFinal Cut Pro Xでカメラアーカイブを作成できることだ。 これを行うには、Final Cut Pro Xで「Import Media」ウインドウを開き、カードのルートコンテンツが含まれているフォルダに移動し、「Import Media」ウィンドウの下部で、カメラカードを表すフォルダを選択する。左下のcreate archive…ボタンがアクティブにならない場合は、フォルダの横にある三角ボタンをクリックして、Final Cut Pro Xに強制的にカメラカードフォルダを「見せる」。これでボタンがアクティブになり、カメラアーカイブを作成できるようになる。 ディスクイメージファイル Creating a .dmg file using Disk Utility FCPXはカードリーダーを介してカメラの記録メディアカードからカメラアーカイブを作成することができる。しかし普通のフォルダーにバックアップされた単純なビデオファイルが記録されたドライブを手渡されえうこともある。例えば、ATOMOSやブラックマジックデザインのレコーダーからのファイルがそのようなケースだ。この場合、カメラアーカイブを作成することはできない。しかし、そのような「カメラカード」をmacOS Disk Utilityを使ってバックアップする方法は残されている。 そのツールはApplications / Utilities / Disk Utilityの下にある。 これを起動して、メニューからFile/New Image/Image from Folder…を選択し、ディスクイメージのファイル名を入力する。そしてカメラカードバックアップのルートコンテンツを含むフォルダに移動して選択する。暗号化は「なし」を選択し、画像フォーマットには読み取り専用を設定する。 そして「保存」をクリックして処理を開始する。 終了すると、選択した場所に.dmgファイルが生成されている。このファイルをダブルクリックすると、仮想ディスクをマウントできる。仮想ディスクは、ファインダ内および他のすべてのアプリケーションに物理的に接続されているディスクのように見え、他のデバイスと同じように、マウントされたディスクイメージからインポートすることができる。 ヒント:そのディスクイメージがカメラの記録メディアカードの正確なイメージではない場合、ファイルをそのままにしてFinal Cut Pro Xに読み込むことができる。次にFinal Cut Pro Xを起動したときにイメージがマウントされていることを確認する。もしマウントされていないと、それらのクリップはオフラインになってしまう。 LOG映像のプレビューにLUTを自動的に適応しない方法 LOGで撮影された映像ファイルをFinal Cut Pro Xに読み込む場合、各クリップに自動的にREC709 LUTがあてられる場合がある。意識していないのにREC709に対応されたように見える場合は、インスペクタをチェックしてFinal Cut Pro Xが犯人であるかどうか調べることができる。 このLUT自動適応を無効にするには、インスペクタの[i]情報タブに移動し、インスペクタのSettingsビューが表示されていることを確認し、Camera LUTをNoneに設定する。 Final Cut Pro X Inspector showing “Settings” an Camera LUT 独自のカスタムLUT(.cube)を適用するには、ドロップダウンメニューのAdd Custom Camera LUT…コマンドを使用してインポートする。 いつものように、フィードバックのコメントがあれば送っていただきたい。 Final Cut Pro Xのチュートリアルについての提案やアイデアがある場合も、コメントを残していただければ幸いだ。
続きを読む2019.1.14 Florian Gintenreiter
今回から3回にわたってFinal Cut Pro Xで、カメラの記録メディアカードからファイルのインポートを行ううえでの、いくつかのヒントやテクニックを紹介する。 Final Cut Pro X current version 10.4.4. Final Cut Pro X(FCPX)は、一見かなり単純な機能しかないように見えるが、その機能はかなり多才だ。またFinal Cut Pro Xでは、環境設定画面を表示する機会はあまりない。これは、技術的に詳しくなければ編集ができないということがないように考慮されたAppleの戦略なのだ。 現実は、Final Cut Pro Xは強力なNLEであり、リリース以来28回にわたる無料アップデートがされている。そのほとんどはプロのワークフローと機能に対するものだ。 前置き さてメディア管理の基本は、編集を始める前に必ず元のメモリーカードをバックアップすることだ。 メディアのコピーは、理想的には少なくとも3つ作りたい。1つはNLEで作業するため、後の2つはパソコンに接続しないで、好ましくは異なる場所に保管しておきたい。バックアップを常に手元に持っている必要はない。 ではFinal Cut Pro Xでカードベースのメディアを扱う方法について解説しよう。 FCPXにファイルをインポートする 注意:ここで言うカードとはカメラで記録し、カメラで記録されたままのファイル構造を持つXQD、SxS、あるいはSDカードを指す。Final Cut Pro Xは、Atomosのモニターレコーダなどに使用されているSSDをカードとは見なさない。これらは、ビデオクリップを含む外部ボリュームとしてマウントされる。以下の記述では、そのようなメディアに対してはは当てはまらない場合がある。 それでは、基本から始めよう。カードをカードリーダーに挿入すると、他の外部記憶装置と同じようにMacのデスクトップにマウントされる。 Final Cut Pro Xが動作している場合は、すぐに「メディアの読み込み」ウインドウが表示され、ライブラリに読み込むクリップを選択できる。ショートカットCommand + Iでウインドウを開くこともできる。 Final Cut Pro X’s import dialog screen さてここで、ファイルにチェックを入れることができないことに気づいたかもしれない。この機能はインターフェイスでグレー表示されている。 Final Cut Pro Xは、カードからインポートしたすべてのファイルを、ライブラリの設定で定義したメディア保存フォルダにコピーする。 カードのファイルに直接参照(リンク)できないようになっているのは、完全に理にかなったことだ。そうしないと、カードのファイルを誤って編集に使用し、Final Cut Pro Xを閉じた後で、カードを取り出し、カメラ内でフォーマットしてしまうと、大切なファイルを失ってしまう可能性があるからだ。 ヒント:カードから読み込む場合は、クリップを選択でき、選択されたクリップだけがFinal Cut Pro Xに読み込まれる。クリップごとに複数の範囲をドラッグすることもできる。非常に長いクリップで、必要な部分のみをインポートしたい場合、この機能は非常に便利だ。これはカード確認ライトの取り込みでのみ有効な機能だ。カメラ固有のファイル構造を持たない通常の外部ボリュームからインポートされるクリップでは、この機能は使えない。 取り込みをクリックするとすぐに取り込みが開始される。 Final Cut Pro Xがメディアをバックグラウンドでコピーしながら編集を開始することもできる。Final Cut Pro Xは裏で現在の保存場所にあるメディアファイルにエイリアス(ソフトリンク)を作成し、それらがコピーされるとライブラリの保存場所にあるファイルと置き換える。 インポートが中断された場合 Final Cut Pro Xではバックグラウンドでコピーされているメディアを使用して作業することができるので、メディアのインポートが完了したことを確認することは非常に重要だ。これを行うには、Background Tasksウインドウのcommand+9、またはWindow > Background Tasksを選択する。 何らかの理由でインポートが中断された場合、一部のファイルが保存場所にコピーされていない可能性がある。カードをパソコンに接続した状態でFinal Cut Pro Xを起動するとうまく表示され、編集することができる。 ヒント:ライブラリウインドウのサムネイルの左下にある小さなカメラのアイコンで、ライブラリの保存場所にまだコピーされていないクリップを識別できる。 ただし、カードをアンマウントすると、まだコピーされていないクリップはすべてオフラインになる。これを修正するには、File > Import > Reimport from Camera/Archiveからの再読み込みを使用する。この機能により、接続されているカードから複数のクリップのインポートを再開できる。 カードをパソコンにマウントし、ブラウザでオフラインクリップを選択してコマンドを起動することにより、インポートを再開できる。 カードまたはアーカイブから再読み込みしようとすると、Final Cut Pro Xが下のエラーメッセージを表示することがある。 Final Cut Pro X “camera missing” error message. この問題を解決するには、Import Mediaウインドウ(command+I)を開き、カードに移動して選択し、内容が下に表示されたら、Import Mediaウインドウを閉じる。これでFile > Import > Reimport from Camera/Archive から再インポートが機能するはずだ。 このシリーズの第1回はここまで。近く第2回を掲載する予定だ。
続きを読む2018.12.19 Bato Prosic
Shutterstockは、Final Cut Pro Xの拡張版でアップルとのコラボレーションを発表したのを機械に、新しいプレミアム映像素材“Shutterstock Select”の提供を開始した。 このプレミアム映像素材は、ファントムやREDカメラを使った空撮など、最高級の機材で業界最高レベルの撮影チームによって撮影されたもののみ厳選している。 Shutterstock Selectは引き続き同じ価格体系を維持し、ロイヤリティフリーだ。 最近では映像素材サービスが非常に多く競争が激しくなっており、互いに差異化を図る傾向にある。例えば以前紹介したFilmsupplyもその一つで、実際にストーリに沿って制作された、高い品質のコンテンツだ。このコンテンツはライセンス許諾され、映像素材として再利用できるようになっている。またRawFilmも以前紹介したが、サブスクリプションベースのサービスで、REDカメラとREDCODE RAWで撮影された映像を提供している。更に、Adobe Stockは、FotoliaとCreative Cloudを統合することにより、実用性の高いサービスを提供している Still from Shutterstock Select footage 特にAdobeのケースでは、実際にAdobeのソフトウェアを活用している点が特徴的だ。Adobeのアプリケーションと、映像素材のサイトを行ったり来たりする煩わしさから解放され、Adobeのアプリケーション内で映像素材を検索することができるのだ。アドビの場合はAdobe自身が映像素材を提供しているが、映像素材サービス会社が別の場合は、ソフトウェアメーカーと映像素材サービス会社どちらにもメリットがある。 AppleとShutterstockのコラボレーションもそれが狙いで、ShutterstockをFinal Cut Pro X 10.4.4と統合し、ユーザーの利便性を図るとともに、お互いの利益も確保できる構図となっている。この拡張機能は、検索、素材の取得、透かしサンプルのダウンロードなどの機能が搭載されている。 Shutterstockの次のステップ Shutterstock Selectは、次のステップとして、同社のサービスをさらに洗練させる考えのようだ。 同社のブログやウェブサイトには明記されているわけではないが、ユーザーは自由に利用できるのではなく、招待が必要なようだ。少数の経験豊富な撮影チームにより、高い品質で、専門的に選別されたコンテンツを撮影し、撮影機器も最高のものだけを使用している。 Shutterstock Selectに映像素材を提供しているBevan Goldswain氏は次のように語っている。 現在は多くの映像素材サービスがあり、平均的なものも多くありますが、高品質のものも多くあります。しかし、最高品質のものはそう多くありません。 このようにShutterstockは最高品質の映像素材を扱っているが、解像度に関係なく、コンテンツはロイヤリティフリーで価格は一本化されている。 プレミアムコンテンツというだけではない Still from Shutterstock Select footage 新しいサービスは非常に特徴的な映像を揃えている。 他の映像素材サービスならコンテンツを増やし、量で勝負することを考えがちだが、Shutterstockのアプローチは量ではなく、少数だが他では得られない映像素材に力を入れている。現在は、Millenials、New York Aerials、Los Angeles Aerials、Food&Drinks、Small Business、そしてJapanの6つのコレクションが用意されている。ハリウッドスタイルのアクションシーンに適した映像素材が用意されるかはわからないが、同社の映像素材はほとんどのプレミアムテレビ番組やウェブ映像で使用できるだろう。特に、空撮とハイフレームレート映像は注目すべき点だ。 Still from Shutterstock Select footage Shutterstock Selectのもう1つの特徴は、同社が自ら映像提供者を選び、彼らが撮影した映像素材に厳選していること。 Shutterstock Selectに映像を提供しており、撮影監督でもあるDaniel Hurst氏は次のように述べている。 独自の撮影スタイルを持っている映像提供者は、将来更に注目されると私は思っています。私は映像を買ってくれる会社が、そのようなユニークな発想やその映像を評価してくれることを望んでいます。 Shutterstock Selectがこのような方針で映像素材を集めるなら、ユニークな映像を撮影するクリエイターにとって朗報だろう。ありきたりな映像を撮影する必要は無いのだ。 Shutterstock Selectがこのようなコンテンツを提供するのは、映像素材業界に活気を与え、ユーザーにとっても有益なことになるだろう。
続きを読む2018.6.25 Olaf von Voss
Lesspain SoftwareはKyno 1.5をリリースした。Kynoは映像ファイルのトランスコーディング、ロギング、レビュー、タグ付けなどを行うことができるアプリケーションソフトウェア。新バージョンでは、新しい機能と新しいラインナップを追加するとともに、大規模ユーザー向けと個人ユーザー向けの2つのバージョンを用意した。 今回のバージョンアップで、KynoはStandardとPremiumの2つのバージョンから選択できるようになった。 Kyno 1.5 Standardは、以前のVer1.4(記事はこちら)と比較して非常に多くの新機能を搭載している。一方、全く新しく設定されたPremiumは、ハイエンドの制作環境向けとなっている。幅広い柔軟性を持ち、大きな制作チームやワークフローに対応する。 Kyno 1.5の概要 それではKynoの最新バージョンを見てみよう。 新バージョンの主な新機能には、映像ファイルが記録された正確な時間を入力する機能が含まれている。これにより、映像を撮影時間順に整理してスムーズな編集作業をすることができる。撮影前に、カメラや外部レコーダーの時計を合わせることを忘れてしまい、無意味な撮影時間が記録されていることがある。この機能は、最初のクリップの撮影時間を入力するだけで、すべてのクリップをバッチ修正できるので大変便利だ。 また、Kyno 1.5はメタデータ付きのクリップをFinal Cut Pro Xにドラッグ&ドロップしたり、FCPXで作成されたMXF ProResファイルを再生することもできる。さらに、Final CutのXMLのエクスポートは、XML標準のバージョン1.6にアップグレードされている。 Premiere Proの場合は、映像ファイルをPremiereにインポートするとき、ファイル構造に基づいてビンを自動生成できる。 新しくなったサムネイルですべてのクリップのメタデータを簡単に参照することができるので、クリップを把握しやすくなった。さらに、トランスコードプリセットをインポートすることにより、ファイル変換されたファイルをエクスポートできるようになり、これを共有することも可能だ。 Kyno 1.5はパナソニックGH5sで作成されたRAWの静止画と同様、WebPイメージのサポートを追加した。 またIMX / D10ファイルもサポートされるようになった。更に、メタデータのフィルター、一括して表題を付けるルール、オーディオチャンネルの選択、レンダリング画質の向上もされている。ただ、これらは堅実な改善点だが、画期的な機能というわけではない。そこでKyno Premiumを見てみよう。 Kyno Premium Kyno 1.5 Premiumは、Standard版のすべての機能を搭載しているが、それだけではない。 Kyno Premiumは、より大きな制作チームのより複雑なワークフローに対応している。たとえばテレビ局や大きなプロダクションでは、多数のプロジェクトを効率的に処理するため、多くのチームメンバーと複雑なワークフローを構築している。Kyno Premiumには、メタデータを含めた映像素材をまとめて、離れたチームメンバーにシェアすることができる。 FTP / FTPS機能が組み込まれているのだが、FileCatalystやAsperaのようなオプションも追加できる。ただ、これはLesspain Softwareがカスタムパッケージ(CPD)の注文として受ける特注扱いとなる。対象の組織に応じてカスタマイズされたトランスコードの方法やファイルのネーミング方法を注文ごとに設定することもできる。これにより、大規模な組織であっても、最適なシステムを構築することができるのだ。 撮影されたSDカードのメタデータを事前に定義できるようになり、カードで記録された映像ファイルがインポートされると、すべてのメタデータが同時に保存される。これは複雑なチームワークフローでは便利な機能だ。 Kyno 1.5プレミアムは、大規模なチームのニーズに応え、キャッシュの場所の共有や、別のKynoユーザーによって入力されたメタデータの格納など、メタデータ管理を多方面からサポートしている。 Kyno 1.5 Premiumには、サポートされているファイル形式の観点から、P2カメラで撮影された映像ファイル、MXFファイル(XDCamとDNxHDコーデック)、AvidのDNx(HD、HQ&HR)コーデックへのトランスコード機能が追加されている。オーディオトラックに対しては、チャンネルマッピングが自由に設定でき、まとめてノイズ除去フィルタなどの適用ができる。 価格と発売時期 Kyno 1.5 Standardは159ドルで、1年間の無料アップデートが含まれている。 1年後にそのまま使用するか、79ドルを支払って新しいバージョンにするかの選択ができる。 Kyno 1.5プレミアムは349ドル。4週間、お試し価格が適用される。 我々の仕事はかなり多様で、カメラマン、エディター、プロデューサーにより、映像素材の整理、トランスコード、タグ付け、そしてワークフローそのものが異なるため、Kyno Premiumは大変有用なソフトウエアだろう。また、一般ユーザーには、Kyno 1.5Standardがお勧めだ。今回、StandardとPremiumの2つのバージョンが用意されたことにより、一般ユーザーは最適の機能を低価格で享受できるようになったと言える。 Links: Lesspain Software
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