2019.12.3 Gunther Machu
10ビットのフルフレーム記録が一般的になってきたが、まだまだ高価だ。そこで、キヤノンのFDレンズをマウントしたパナソニックS1で、比較的安価な10ビット記録ができるカメラを考えてみた。 Panasonic S1 with the Canon FD 35mm f2 lens. Image credit: Gunther Machu フルフレームで撮影することが多くなったが、8ビットで記録しているユーザーはまだまだ多いだろう。筆者は10年前にパナソニックGH1を使いだし、後にBMPCCカメラに移行した。次はフルフレームと考えているが、同時に10ビット記録も画策している。そこで、自分なりに次期カメラの構想を考えてみた。 次期カメラの構想 明るいレンズで浅い被写界深度のフルフレームセンサーカメラ 4K 4:2:2 10ビット内部コーデック LOG画像ピクチャープロファイルで広いダイナミックレンジ 強力なボディ内手振れ補正 ヘッドフォン出力 見やすいファインダーやスクリーン 長いバッテリー持続時間 広角および中望遠をカバーするf4未満、理想的にはf2レンズ 滑らかなフォーカスリングでハードストップによるマニュアルフォーカス リグや外部レコーダーなどの外部機器無しで使えること 3500ドル以下 これは難しい要求だろうか? Panasonic S1 image graded from my timeline カメラを選ぶ 2018年ではこの要求は難しかっただろうが、2019年ではそうではない。今年は、ニコンZ 6、パナソニックS1/S1H、シグマfp、ライカSL2などのフルフレームカメラがリリースされた。 「フルフレームルック」用のスピードブースターを装備したZCAM E2-S6などのS35カメラ(EFマウントバージョンを選択しない場合のみ)もとりあえず選択肢に残しておく。 さて、マイクロフォーサーズ(MFT)カメラを選択肢に入れなかった理由を述べておきたい。 フルフレームのf/2に相当させるには、MFTではVoigtlaender 17mm f0.95(クロップファクター2x)またはVoigtlaender 25mm f0.95といった非常に明るいf/1レンズを使用する必要がある(約500€)。別の選択肢は、f1.4のレンズと組み合わせてスピードブースター(例えば0.71x)を使用することだ。 したがって、「ルック」の解決策はあるが、依然として小さな画素(ピクセルピッチ)を持つセンサーで撮影することによるダイナミックレンジと低照度特性画の不利な面は避けられない。 したがって、やはり大きなフルフレームセンサーのほうが有利だ。上記のすべての条件を満たす唯一のカメラはパナソニックのS1だ。シグマfpにはヘッドフォンジャックとボディ内手振れ補正がなく、S1H、Leica SL、ZCAMは高価すぎる。ニコンZ 6は10ビットLOGで外部記録だ。 S1については、 「パナソニックLUMIX S1レビュー ー プロトタイプでのテスト撮影」、「パナソニックLUMIX S1 V-Logレビュー」および「パナソニックLUMIX S1ローリングシャッターテスト」の記事も参照いただきたい。 価格はV-Logアップグレードと64 GB SDカード(UHD 4:2:2 10ビット24 fpsで55分の記録が可能)を含め、約2,498ドルだ。 レンズを選ぶ 優れた品質を備えた完全なマニュアルで、明るいプライムレンズとなると、キヤノンFDレンズが候補に挙がる。 以下は、選択したレンズ。 トキナRMC、17mm、f3.5 – 165ドル キヤノンFD 35mm、f2 – 165ドル キヤノンFD 50mm、f1.4 – 66ドル 合計で約396ドルになる。上記の17mmなど超広角が必要ない場合は、ほぼ同じ金額でキヤノンFD 24mm f2を使用することもできる。もう少し望遠域が欲しいなら、キヤノンFD 135mm f2.8が88ドルで手に入る。 The Tokina RMC, and Canon FD lenses – Image credit: Gunther Machu 上記のレンズはすべて30〜40年前のもので、適度なフレアがあり、非常に優れた解像度を持っている。 17mmはf5.6でシャープになり、35mm f2は開放でもシャープで、50mmもf2でシャープになる(夜間でのコントラストは一般的に高いため、f1.4でうまく機能する)。 これらのレンズでは、現代のレンズのような超コントラストや超解像度ではない。逆に言えば、現代のカメラのデジタル的なとげとげしさををうまく取り除くとも言える。 フレアは17mmレンズと35mmレンズでは適切に制御されている。50mmのフレアは、太陽をフレームに入れると多く発生する。またフレアは少し青みがかっている。 これらのレンズは非常に軽くてコンパクトだ。上記の3つのレンズは全部合わせても870グラムに過ぎない。 テレ側が欲しい場合、S1をAPS-Cモード(4K 4:2:2 10ビット)にすると、1.5倍テレ側にシフトする。したがって、50mm/f2レンズは75mm/ f2.8と同等になる。 キヤノンFD to Lマウントアダプター ただしこれらのレンズをS1のLマウントに適合させるためにはマウントアダプターが必要だ。Kiponのもの(105ドル)もあるが、より安価な選択肢もある。ただしパフォーマンスは異なる。 KIPON L to FD adapter – Image credit: Gunther Machu 晴れた日に撮影したい場合は、NDフィルターが必要になる。筆者は主に82mmサイズのHeliopanの可変NDフィルターを使用している。NDフィルターの309ドルに加えてステップアップリングに10ドルが必要だ(レンズには52mm、55mm、67mmから82mmのステップアップリングが必要)。 もちろん、他のブランドもある。たとえば、Polar Pro VariND 6-9などだ。 S1でメカニックアダプターを使用している場合にボディ内手振れ補正を有効にするには、カメラの起動時にレンズの正しい焦点距離を入力する。 If no electronic contact to a lens is established, the Panasonic S1 asks upon start up to enter the focal length of your lens – a nice feature! Image credit: Gunther Machu まだ3500ドルまで余裕があるので、RodeVideomic Pro(170ドル)も追加しておく。 これで合計は3000ドルから3488ドルになる。価格の差はアダプターと可変NDフィルターだ。 サンプル映像 選択したカメラシステムを試すため、筆者はOchi Day(10月28日)に撮影してみた。Ochi Dayとは、ギリシャや世界中のギリシャのコミュニティで祝われている日で、1940年にギリシャの領土を占領しようとしたイタリアの独裁者ムッソリーニの最後通告に対するギリシャの拒否を祝ったものだ。 Man at work in Greece. 撮影した映像は、DaVinci ResolveでPanasonic Varicam LUTライブラリのNicest 709 33 E-E.cube LUTを使用してグレーディングした。さらにSカーブを追加して黒みを加えている。しかし、ブルーが過飽和に感じたので、ブルーを抑える必要があった。なお、この問題は最新のS1ファームウェアで修正されているようだ。 このように撮影した色にはリアリティがある。もちろん、色は主観的なものであり、好みの仕上げをすればよい。 S1の映像に対する要望は1つだけだ。ブラックマジックデザインやライカのカメラに比べ、オーガニック感に欠けているように感じられる。カメラのノイズリダクションが多すぎるように感じられるのだ。 これはオフにできない。 まとめ この組み合わせは使いやすさにおいても不満はない。ファインダーは素晴らしく、バッテリー持続時間も十分だ。また起動時間も短いので、撮り逃がすことはない。実に快適に撮影できるカメラシステムになった。 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1H-K Panasonic DC-S1-K
続きを読む2019.11.11 Jeff Loch
FilmConvertは、パナソニックS1とS1Hカメラ用の新しいカメラパックを発表した。 FilmConvert ProまたはFilmConvert Nitrateユーザーの場合、これらの新しいプロファイルを無料でダウンロードできる。 LUMIX S1 / S1H用FilmConvert カメラパック パナソニックのLUMIX S1とS1Hは映像クリエーターの間で人気のカメラで、特にS1HはNetflixが承認した初のミラーレスカメラでもある。(S1Hの詳細についてはこちら、ラボテストはこちら) FilmConvertはカメラパッケージのリストを継続的に更新しており、LUMIX S1およびS1H用の新しいカメラパックも導入した。このカメラパックは、FilmConvert ProおよびFilmConvert Nitrateプラグインと互換性がある。 (FilmConvert Nitrateの詳細についてはこちら)プラグインを購入すると10%の割引を受けることもできる。 FilmConvertは、ニュージーランドのウェリントンにある保護区のジーランディアでテストを行った。(冒頭のビデオ)。 V-Logピクチャープロファイル、48fps、およびLumix S 24-105mm F / 4 Macro OISで撮影している。 KD P400 Ptraフィルムストックを使用して、FilmConvert Nitrateでグレーディングを行った。 S1Hを手持ち撮影しているが、結果は良好だ。また、このような厳しい条件でカメラのダイナミックレンジの広さを確認できる。 価格と発売時期 FilmConvertカメラパックは無料で配布される。 FilmConvert Webサイトから、新しいカメラパックをダウンロードできる。さらに、同社は現在FilmConvertショートフィルムコンペティションを開催しており、エントリーはまもなく終了する。 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1H-K Panasonic DC-S1-K
続きを読む2019.11.10 Jakub Han
パナソニックは2本の新しいLマウントレンズを近く発売する。 LUMIX S PRO 16-35mm f / 4は新しい超広角レンズで、LUMIX S PRO 70-200mm f / 2.8 O.I.S.は、新しい望遠レンズだ。これらのレンズは、防塵、防滴、凍結防止構造を持ち、オートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替えるクラッチ機構を備えている。 LUMIX S PRO 16-35mm f/4 and 70-200mm f/2.8 O.I.S lenses. Source: Panasonic Lマウントアライアンスの各社は、活発に活動している。パナソニックのS1Hは、Netflixが承認した初めてのミラーレスカメラとなり(S1Hのレビューはこちら)、シグマはcinemaDNGで内部記録できるfpラメラを発売し(fpのレビューはこちら)、ライカはSL2をリリースした。 シグマはすでにLマウント用のレンズを15本をリリースしている。またパナソニックはロードマップに従い高品質なレンズを開発しており、これまでフルフレームLUMIX Sカメラ用に下の4本のLマウントレンズをリリースしている。 LUMIX S 24-105mm f/4 Macro O.I.S. LUMIX S PRO 24-70mm f/2.8 LUMIX S PRO 70-200mm f/4 O.I.S. LUMIX S PRO 50mm f/1.4 パナソニックは、このラインナップにLUMIX S PRO 16-35mm f / 4およびLUMIX S PRO 70-200mm f / 2.8 O.I.Sの追加を発表している。これにより、一般的に使用する焦点距離をカバーする3本のズームレンズトリオが完成した。 LUMIX S PRO 16-35mm f/4 ただし残念ながらこのレンズはf / 2.8ではなく、f / 4となっている。しかし、これにより軽量かつコンパクトなレンズに仕上がっている。 9群12枚のレンズ構成で、3枚の非球面レンズ、1枚のEDレンズ、および超高屈折率(UHR)レンズを配置している。またダブルマグネットリニアモーターは、高速で正確なオートフォーカスを可能としている。 LUMIX S PRO 16-35mm f/4 lens. Source: Panasonic このレンズには、オートフォーカスモードからマニュアルフォーカスモードに切り替えるフォーカスクラッチが装備されており、ビデオ撮影でのフォーカスブリージングを抑制し、防塵、防滴、凍結対策も施されている。 LUMIX S PRO 16-35mm f/4 lens construction and MTF chart. Source: Panasonic LUMIX S PRO 70-200mm f/2.8 O.I.S 70-200mm f / 2.8は、f/2.8の望遠レンズだ。同じ焦点距離のf / 4バージョンが既に発売されており、f / 2.8バージョンの発売により、より明るいレンズの選択も可能になった。F / 2.8バージョンはf / 4バージョンに比べ600グラム重く、わずかに大きく、そして108,000円高価だ。 LUMIX S PRO 70-200mm f/2.8 O.I.S. lens. Source: Panasonic レンズ構成は17群22枚で、2枚のUEDレンズ、3枚のEDレンズ、および1枚の非球面レンズを搭載している。シャープなフォーカシングで、焦点から外れるに従い滑らかで心地よいボケが表現できる。また、オートフォーカスからマニュアルフォーカスに簡単に切り替えられるフォーカスクラッチ機構も備えている。 LUMIX S PRO 70-200mm f/2.8 O.I.S. lens construction and MTF chart. Source: Panasonic このレンズには光学手ぶれ補正(O.I.S)が搭載されており、カメラのボディ内手振れ補正と連動する。 5軸デュアルI.Sは、手持ちでの撮影やスローシャッターでの撮影時に最大7段の補正が可能。また、動画撮影では問題になるフォーカスブリージングも大幅に低減している。更に、防塵、防滴、凍結対策も施されている。 価格と発売時期 LUMIX S PRO 16-35mm f / 4レンズのメーカー希望小売価格は190,000円(税別)で、12月下旬発売予定。 LUMIX S PRO 70-200mm f / 2.8 O.I.S.のメーカー希望小売価格は318,000円 (税別)で1月中旬発売予定となっている。
続きを読む2019.11.7 Jakub Han
パナソニックは、一部のLUMIXカメラに対し、ファームウェアアップデートを発表した。 S1とS1Rは以前にアナウンスされたCFexpressサポート、G9は10ビット4:2:2モードをサポート、GH5とGH5SはAFを含む機能拡張を行う。新しいファームウェアは、2019年11月19日に同社のサポートサイトから入手できる。 Free firmware update for Panasonic LUMIX cameras. パナソニックは定期的にファームウェアの更新を行い、新機能を提供し続けている。今回はLUMIXカメラのメジャーファームウェアアップデートで、これらは全て無料。新しいファームウエアは2019年11月19日に利用可能になる。 LUMIX S1 / S1R - CFexpressサポート パナソニックのプロビデオ指向のフルフレームミラーレスカメラといえば、現在はS1H(レビューはこちら)がその第一人者だが、LUMIX S1は依然として多くの映像クリエーターにとって人気のフルフレームカメラだ。 LUMIX S1の詳細については、ハンズオンレビュー、V-Logテスト、ローリングシャッターテストの各記事を参照いただきたい。 LUMIX S1およびS1Rは、ファームウェアバージョン1.3にアップデートされる。この更新により、XQDカメラスロットでCFexpressが使用できるようになる。CFexpressは現在のXQDカードと同じ形状とインターフェイスながら、XQDよりも最大300%高速だ。 LUMIX S1 and S1R. Image source: Panasonic また、ワイヤレスフラッシュ用のProfoto Air Remote TTL-O / PおよびConnect-O / Pとの互換性もサポートされる。その他の変更では、シグマLマウントレンズの拡張サポートが含まれる。選択したレンズのFnボタンに機能を割り当て、ボディ内手振れ補正機能の最適化ができるようになる。 また、MC-21マウントコンバーターを使用して、レンズをコントロールできる。 AFパフォーマンスの改善に関しては、AF + MFがAFCモードで使用できるようになり、Creative Videoやその他のビデオ録画モードのライブビュー画面で連続AFを設定することができる。さらに、ハイスピード撮影で露出を手動で設定できるようになる。このアップデートには、その他の小さな改善も含まれている。 LUMIX G9 ― 10bit 4:2:2記録 LUMIX G9は静止画に重点を置いたカメラとして設計されているが、多くのユーザーがG9にもプロビデオ機能が欲しと考えていたようだ。新しいファームウェアアップデートバージョン2.0により、GHラインと同レベルのビデオ機能を持つ。 LUMIX G9. Image source: Panasonic 新しいファームウエアでは、内部および外部記録で4K/10ビット4:2:2がサポートされる。内部記録の場合、4K 30 fpsまでだが、外部記録ではHDMI経由で最大60 fpsで記録できる。可変フレームレート設定も追加され、FHDで2〜180 fps、4Kで2〜60 fpsとなる。また、オプションのDMW-SFU1ソフトウェアアップグレードキーで、V-Log LとWaveform Monitorの機能を追加でき、HDRも利用可能になる。これによりG9のビデオ機能は大きく更新される。 G9ファームウェアバージョン2.0には、GH5およびGH5Sのアップデート同様の他の変更点も含まれている。 GH5 / GH5S ― オートフォーカスの改善 新しいファームウェア(GH5:バージョン2.6、GH5S:バージョン1.4)は、G9のファームウェアバージョン2.0と同じ機能を持つ。一番の新機能は、Sシリーズと同じProfoto Air Remote TTL-O / PおよびConnect-O / Pとの互換性だ。 更に、GH5SおよびG9のAnimal Detectを含むAFのパフォーマンスも改善している。その他の小さな変更では、AWBwの追加、ハイライト向けの露出などがある。 LUMIX GH5 and GH5S. Image source: Panasonic これらのアップデートは、2019年11月19日に同社のサポートサイトでリリースされる予定。 Source: B&H Explora 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1H-K Panasonic DC-S1-K Panasonic LUMIX DC-GH5 ボディ(DC-GH5-K) Panasonic LUMIX GH5S ボディ(DC-GH5S-K)
続きを読む2019.10.27 Johnnie Behiri
パナソニックS1Hが発売された。市販モデルで早速レビューをお届けしたい。動画撮影を意識したミラーレスカメラだが、その期待は裏切られていないようだ。 Panasonic S1H (Image credit: cinema5D) パナソニックS1Hが最初に発表されたのは5月末で、それ以来何度か経過報告の記事をリリースした。そしていよいよ製品版が発売された。ここでは取り急ぎレビューした結果をレポートする。 S1Hの概要 パナソニックは、フォトグラファー向けのG9を投入し、数か月後にビデオ指向のGH5 / GH5sを投入した。現在、S1とS1Hでも同じ手法が行われている。 S1の仕様を見ると、映像撮影に必要な幾つかの機能はサポートされていない。これはビデオ撮影向けのS1Hが登場することを前提にした仕様だったと言える。 S1Hが話題に上がっていた同時期、ブラックマジックデザインはBMPCC 6Kを発売し、映像クリエーターの注目はそちらに移った。その後、シグマがfpを発表するなど、しばらくS1Hの影が薄くなっていた。しかしS1Hの発売で、またS1Hに話題が集まるだろう。 S1Hは多くの機能を持つが、豊富な解像度、フレームレート、およびデータレート(最大6K)の選択、 3:2アナモフィックも可能なフルフレームセンサー、デュアルSDカード記録、使いやすいEVF、優れた5軸IBIS(ボディ内手振れ補正)、無制限の記録時間、デュアルISO、優れた低照度特性など、動画撮影を意識した機能が充実している。このカメラは軽くはないが、持ち運びが大変という訳ではない。これについては後述する。 しかしよく見ると、1つの重要な機能が欠落していることに気付く。それは、オートフォーカスのパフォーマンスだ。パナソニックは同社のMFTカメラにも、フルフレームセンサーカメラにもコントラスト検出AFを実装しているが、これは非常に残念なことだ。位相差検出オートフォーカスシステムが搭載されていれば、性能は更に向上するだろう。プロの撮影ではAFを使わないので問題ないのでは、という意見もあるが、オートフォーカス技術は急速に進歩しており、一人で撮影するドキュメンタリーカメラマンなどにとっては有用な機能だ。 The joystick that is killing me – Much too sensitive (Image credit: cinema5D) 操作性 前述のように、このカメラは軽くはないが、ホールド感が良いのでその重さはあまり感じない。しかし実際には、むしろLマウントズームレンズの重さが気になる。上のビデオを撮影するのに24-105mm f4を使用したが、レンズの重さが気になったのと、f / 4のレンズは低照度に強いS1Hでも多少使いにくかった。やはり暗い環境下で撮影するときは24〜70mm f / 2.8をお勧めしたい。残念ながら、今回のレビューにはこの新しいレンズは間に合わなかった。後日改めてテストしてみたい。今後Lマウントカメラのユーザーが増えれば新しいレンズも開発され、手頃な価格のレンズも商品化されるだろう。パナソニック、シグマ、ライカなどのLマウントアライアンスメンバーがいくつかレンズを発売しているが、数が限られており、また若干高価だ。S1H / S1やシグマのfpに対応する、小さく明るいレンズが欲しいところだ。筆者は今のところ、古いキヤノンFDレンズとKIPON L-FDアダプターを使用することを計画している。 なお、カメラのメニューはバリカムカメラスタイルになっており、これは使いやすい。なお、背面にあるジョイスティックは敏感過ぎて使いにくいが、これは調節できるようだ。 A la Varicam style screen menu (Image credit: cinema5D) ラボテスト 簡単なラボテストも行い、いくつかの興味深い発見があった。要約すると、結果は非常に良好で、デュアルISO設定でほぼ同じダイナミックレンジ結果を示している。またローリングシャッター現象の少なさも特筆できるものだ。後日さらに詳細なラボテストを行う予定。 Panasonic S1H, ISO 6400 at f/4 – what the eye can see Panasonic S1H, ISO 20,000 at f/4 Panasonic S1H, ISO 51,200 at f/4 画質 6K解像度とアナモフィック機能はこのカメラの持つ大きな機能だが、今回は6K解像度に焦点を当てた。アナモフィック機能については、別途適切なアナモフィックレンズかアダプターで短いドキュメンタリーを撮影したいと思っている。6Kでの撮影に関しては、このモードではAll-Intra、400Mbps、4:2:2カラーサンプリングがサポートされていないのが残念なところだ。これらは、4K DCI以下にしかサポートされていない。 (S1Hの仕様はこちら)。 さて、画質については非常に良いのだが、何か“Mojo”が欠けている気がする。説明するのは難しいが、おそらく「独特の魅力」という言葉が適しているだろう。映像は美しく、個人的には、映像の見た目はパナソニックS1に非常に似ていると感じる。また、どういうわけかS1HのV-Logの映像を評価するのは簡単ではない。筆者はカラリストではないが、パナソニックの肌の色調はあまりにも赤すぎると感じる。これは同社の公式の709 LUTをあてた場合でも、だ。もちろん、Davinci Resolveで修正できるが、どうもしっくりこない。 S1H vs S1 さて、S1HとS1はどちらが映像クリエーターに適しているだろうか。 (もっともソニーのα7S IIIを待っているユーザーも多いと思うが)。S1のレビューも参考いただきたいが、これら2台のカメラの映像は非常に似ている。予算や撮影スタイルも関係するので一概には言えないが、 S1Hは間違いなくビデオ向けのカメラだ。ただし価格は高くなる。アナモフィック撮影は行わないユーザーや、Web上の動画を撮影するだけの場合はS1が適しているだろう。 S1Hはより高機能だが、その価格差は無視できるものではない。一方、プロの映像クリエーターで、本格的な映像撮影を行うならS1Hが必要だろう。 Panasonic S1H – Best in class Full Frame Mirrorless camera (Image credit: cinema5D) まとめ S1Hは、ビデオを撮影する最高のフルフレームミラーレスカメラと言える。より高レートな内部記録フォーマットや可変NDフィルターが欲しいところだが、全体としてこのカメラは高品質な映像を提供してくれるミラーレスカメラで、いわゆるプロ用のビデオカメラから考えると、小型で安価なカメラと言える。最後に、Netflixが自社のプロダクション用のカメラとしてS1Hを承認した。(詳しくはこちら) これはパナソニックにとって大きな追い風だろう。 上記のビデオは、MOV 5.9K、4:2:0、LongGOP、25p、V-Logで撮影。FilmConvertでグレーディング。レンズ:パナソニック24-105mm f / 4。インタビュー以外はすべて手持ちで撮影。 MusicVine.comでコードC5D25を使用すると25%割引される。(一人1回のみ有効)。 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1H-K Panasonic DC-S1-K
続きを読む2019.9.2 Jakub Han
Atomosはパナソニックと連携して、パナソニックS1HカメラでHDMI経由のRAWビデオ出力を受け、Ninja VでProRes RAW記録することを発表した。両社はIBCで実際のプロトタイプを展示する予定。ニコンもZ 6およびZ 7カメラが、今年後半に有料アップグレードでRAWビデオ出力機能を提供すると表した。ニコンは、N-Logカラープロファイル用の公式Rec.709 3D LUTもリリースした。 Panasonic S1H will get RAW video output over HDMI soon. Source: Atomos パナソニックS1HがRAW出力に対応 AtomosはパナソニックがS1Hを発表したとき、同社と協力してこのカメラのRAWビデオ出力をHDMI経由でNinja Vレコーダーで記録できるようにすると述べた。これにより、Ninja VはNikon Z 6/Z 7同様、RAW映像をProRes RAWとして記録できるようになる。 Atomosとパナソニックはこの機能の詳細を発表していないが、Atomosはアムステルダムで開催されるIBCショーで実際のモデルを展示すると述べている。同社はまた、RAWアップデートがパナソニックからリリースされたた場合、Ninja Vで無料で対応すると付け加えている。 ニコンZ6/Z7のRAW出力 ニコンZ 6およびZ 7フルフレームミラーレスカメラは、HDMI経由でRAWビデオを出力することは以前よりアナウンスされている。 Cinema5Dでは2019年1月にAtomosから最初に発表された後、Z 7およびZ 6のAtomos ProRes RAWレコーディングについての記事をリリースしている。また、2019年3月のCP +で、ニコンはこの機能を展示している。 Nikon Z 6 and Z 7 will get RAW video output as a paid service upgrade. ニコンとAtomosのRAWビデオ出力の開発は、ニコンの最近の発表のように、完成に近づいているようだ。この機能が正式にリリースされる時期は明確でないが、ニコンによると今年後半と述べている。 Z 6とZ 7は、HDMIを介して12K RAWデータストリームを4K HDRレコーダーNinja Vに送信し、Ninja VはそのストリームをProRes RAWとして記録する。詳細については、ProRes RAWの説明記事をご覧いただきたい。 なおニコンは、この機能は同社のサービスセンターで内部アップグレードを行う必要があると述べており、このアップグレードは有償になる。価格は未定だが、基本的にユーザーで行えるものではない。 ニコンN-Log用Rec.709 3D LUT ニコンは、Z 7/Z 6にN-Log専用のLUT(ルックアップテーブル)も導入した。N-Logはニコンのフラットなカラープロファイルであり、10ビット4:2:2 でHDMI出力でのみ使用可能だ。 ニコンN-Log用の新しい3D LUTはRec709色空間と互換性がある。この3D LUTはRGBカラー値のプリセットであり、カラーグレーディングでルックを変換するために使用され、明るさ、彩度、色相の調整を可能にする。 N-Log 3D LUTは、こちらから無料でダウンロードできる。 フジヤエービックのショップサイト Nikon Z 6 Nikon Z 7
続きを読む2019.9.1 Jeff Loch
LUMIX S1Hの発売に加え、パナソニックは、新しいLマウントズームレンズLUMIX S PRO 24-70mm F / 2.8(S-E2470)を発表した。(LUMIX S1Hの記事はこちら) また、マイクロフォーサーズのプライムレンズ、LEICA DG SUMMILUX 25mm F/1.4 II ASPH (H-XA025)もリリースした。 The Panasonic L-mount LUMIX S PRO 24-70mm F/2.8. LUMIX S PRO 24-70mm F/2.8 LUMIX S PRO 24-70mm F / 2.8(S-E2470)は、Lマウントラインを拡大する新しいズームレンズだ。LUMIX S1 / S1R / S1Hのフルフレームセンサーに対応する。 24-70mmズームレンズは、最も汎用性の高いレンズの1となる。F / 2.8固定F値により、ドキュメンタリー、風景、ポートレートなど、あらゆる撮影に最適なレンズだ。 レンズ構成は、色収差の低減に貢献するの3枚の非球面レンズと4枚のED(超低分散)レンズを含む16群18枚。さらに、UHR(超高屈折率)レンズは、画像の中心から端まで均一な画像を実現する。絞りは11枚の円形ブレードで構成されている。 リニアモーターとステッピングモーターを組み合わせ、フォーカス速度と精度を最適化するダブルフォーカスシステムを採用。フォーカスクラッチメカニズムにより手動フォーカスにも対応する。物理的なスイッチではなく、このタイプのフォーカスクラッチメカニズムのほうが使いやすいかもしれない。AFからMFに切り替える方が速く、直感的に操作できる。 また、LUMIX S PRO 24-70mm F / 2.8には動画撮影に対応して、ブリージングを抑制する効果もある。 The LUMIX S PRO 24-70mm F/2.8 focus clutch mechanism. このレンズは防塵、防滴処理が施されており、更にLUMIX S1H同様、-10℃までの耐寒性能を持つ。フロントフィルター径は82mmで、総重量は935 グラム。 LEICA DG SUMMILUX 25mm F/1.4 II ASPH LEICA DG SUMMILUX 25mm F / 1.4 II ASPH(H-XA025)は、数年前に導入された25mm F / 1.4の後継となる。この25mmプライムレンズは35mm 換算で50mmに相当し、F / 1.4と明るいレンズだ。 このレンズは、7群9枚で構成され、2枚の非球面レンズと1枚のUHR(超高屈折率)インデックスレンズにより、隅から隅まで画像の鮮明さと均一性を実現している。パナソニックナノ表面コーティングも施されており、ゴーストとレンズフレアを最小限に抑えている。絞りは、7枚のブレードで構成されている。 このレンズも防滴、防塵処理されており、内部にはフォーカス駆動システムとステッピングモーターが組み込まれている。スムーズに、静かに、そして非常に高速にフォーカシングできる。フロントフィルター径は46mmで、重量はわずか205グラムだ。 価格と発売時期 LUMIX S PRO 24-70mm F / 2.8ズームレンズは、275,000円 (税別)で9月末に発売予定。パナソニックは、2020年までに「LUMIX S PRO」レンズを10本以上開発し、Sシリーズのレンズラインアップをさらに拡大するとしている。 LEICA DG SUMMILUX 25mm F/1.4 II ASPHプライムレンズは、75,000円(税別)で10月末までに発売される予定。 各レンズのWebサイトはこちら。 LUMIX S PRO 24-70mm F/2.8 LEICA DG SUMMILUX 25mm F/1.4 II ASPH 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1-K
続きを読む2019.8.28 Jeff Loch
LUMIX S1Hはパナソニックの新しいフラッグシップミラーレスフルフレームカメラで、数か月前にCine Gearで公開された。今回、このS1Hがドイツのハンブルクで開催されたプレスイベントで正式に発表された。S1H は6K解像度を持ち、映像クリエーターを念頭に置いて設計されている。 Panasonic S1H – Photo credit: cinema5D LUMIX S1Hは、写真機能の点でLUMIX S1と非常によく似ているが、この記事では、ビデオ機能に焦点を当てて解説する。 6K、フルフレーム4K、super35mmクロップに対応 以前の記事でLUMIX S1Hが非常に高品質、高解像度の映像を記録できるカメラだと伝えた。6Kで最大24fps(アナモルフィック撮影の場合は3:2アスペクト比)、5.9K/16:9/30pで記録できる。また内部で、4K/ C4Kで10ビット/4:2:2/400Mbps/最大29.97pで撮影できる。またHDMI出力を介して外部レコーダーで記録する場合は、最大60fpsが可能だ。以下は、利用可能な記録形式のリスト。 The list of recording formats available internally. Image credit: Panasonic. 記録形式、フレームレート、解像度、ビットレートは印象的で非常に広い範囲の選択が可能だ。これほどの柔軟性を持つミラーレスカメラは他にない。なお頻繁に使用する設定をすばやく呼び出すことができる。 フルフレームモードでほとんどの解像度を選択できる。即ちセンサー全体を使用して画像を記録し、トリミングは行われない。 なお、super35mmモードも使用でき、この場合は4K解像度を維持し従来のフレームサイズにトリミングする。 最も印象的なのは、6K解像度で3:2センサーをフルに使用してアナモフィック撮影できる点だ。このモードは、4:2:0/200 Mbpsであるにもかかわらず、10ビットカラースペースで記録できる。 16:9フルフレームモードに変更すると、4K DCI(上記の表で「C4K」と表記されている)を4:2:2/ 10ビット/400 Mbpsで記録できる。 Image credit: Panasonic. アナモフィックを撮影する場合は、カメラで再生時にデスクィーズできる。使用するレンズに応じて、1.30x、1.33x、1.5x、1.8x、および2.0xの圧縮解除アスペクト比を使用できる。 LUMIX S1Hのプリプロダクションバージョンでダウンロードした6Kテスト映像 以前の記事で、カメラのプリプロダクションバージョンでいくつかのショットを撮ることができた。 その時はカメラを6K解像度(アナモフィック撮影用の3:2アスペクト比に付属)に設定し、通常の球面レンズを使用している。なお、6Kで通常とは異なるアスペクト比のショットをこちらでダウンロードできる(2.9 GB)。 ボディ内手振れ補正 LUMIX S1Hにはボディ内に5軸I.Sが組み込まれている。 デュアルI.S. 2テクノロジーが採用されており、カメラ内O.I.S.とレンズ(光学式手ぶれ補正、2軸)を組み合わせ二重に手振れ補正される。 デュアルI.S. 2テクノロジーはLUMIX GH5にもすでに搭載されており、強力な手振れ補正が可能だ。なお残念ながら、この機能はGH5Sには組み込まれていない。 Image credit: Panasonic. 連続記録時間制限なしとファイル分割記録 すべての記録モードで、連続記録時間の制限は無い。したがって、十分な電源やメモリカードがある限り、ノンストップで記録できる。ファイルは分割されるが、記録は停止しない。また、「セグメントファイル記録」オプションがあり、これはテイクの途中でバッテリーが無くなった場合にデータの損失を避けるのに非常に便利だ。この機能を使用すると、ビデオを1分間のセグメントに分割して記録できる。ビデオは単一のグループとして保存される。 強制冷却システム DSLR やミラーレスカメラで長時間撮影すると、オーバーヒートの問題が発生する場合がある。センサーが過度に熱くなると、カメラは停止する。この問題を解決するため、S1Hには強制冷却システムがセンサーの近くに設置されている。このファンは、センサーを冷却し、外気温が高い状況でも長時間連続撮影を可能にしている。ただしこれがカメラのシーリングに悪影響を与えるかどうかはまだわからない。 Image credit: Panasonic. デュアルネイティブISO また、このカメラは、新しく開発された35.6mm x 23.8mm の24.2メガピクセルのフルフレームCMOSセンサーを採用している。モアレを抑制するOLPF(光学ローパスフィルター)も搭載している。 また、このセンサーはデュアルネイティブISOを備えており、通常モードではネイティブISOを100と640(最大ISO:204800)を選択できる。 V-Log / V-Gamutで撮影する場合は、ネイティブISOは640と4000(最大ISO:51200)となる。HLGモードでは、ネイティブISOは400と2500(最大ISO:204800)。 V-Log、HDR / HLG、LCDディスプレイ LUMIX S1Hは、シネライクガンマ、V-Log / V-Gamut、およびHLG(Hybrid Log Gamma)のHDRなど、さまざまな記録モードと画像プロファイルを備えている。またニーコントロールとマスターペデスタルレベルを調整することで、カラープロファイルを微調整できる。 更にV-Log / V-Gamutで撮影すると、他のVariCam製品と簡単にルックを一致させることができ、「VariCam Look」へのアクセスと、14stop以上のダイナミックレンジが可能となる。今後ラボでS1Hのダイナミックレンジをテストしてみたい。 VariCam LTや EVA1のユーザーなら、LUMIX S1Hは低価格で優れたBカムになる。GH5/ GH5Sとは対照的に、これはV-ログL ではなく、Varicamラインの「フル」Vログだ。 The LUMIX S1H features the full V-Log picture profile. Photo credit: cinema5D また、HDR(ハイダイナミックレンジ)モードで録画することもできる。この場合ハイブリッドログガンマビデオを、ITU-R BT.2100と互換性のある指定ガンマカーブで記録する。 S1Hは多くの記録フォーマットを選択できるが、同時にモニターや表示ツールが用意されている。たとえば、画面上の任意の場所に拡大/縮小して配置できる波形モニターやベクトルスコープ、ゼブラパターン、カラーバー、1kHzのテストトーン、ビデオフレームマーカー(フレームのアスペクトを表示する)、あるいはV-ログビューアシストなどだ。タリーライトは、カメラの前面と背面の両方に装備されている。カメラが記録している場合、ディスプレイやビューファインダーにも赤いライトが点灯する。 Image credit: Panasonic. モニターについてば、背面に3.2インチのLCDディスプレイと、OLEDビューファインダーが装備されている。 LCDディスプレイは、LUMIX S1R / S1 / GH5 / GH5Sの画面よりも150%明るくなっている。さらに重要なことは、構造が新しく設計されていることだ。HDMIやUSBケーブルを取り外す必要なく、画面を傾けたり回転させたりすることができる。GH5などのユーザーはお気づきと思うが、ディスプレイを回転させる場合、ケーブルが邪魔だった。 The new mechanical structure of the LCD screen. Photo credit: cinema5D また、OLEDディスプレイはライブビューブーストを備えており、ライブビュー時に感度を高めることができる。暗い場所でフレーミングする場合、非常に便利だ。 The large Real View Finder.Photo credit: cinema5D 高解像度OLEDビューファインダーと上部のLCDディスプレイ 「Real View Finder」と呼ばれるビューファインダーは、S1 / S1Rと同じで、5760kドットの解像度と10,000:1のコントラストを持つOLEDディスプレイで、現在、最高解像度クラスのファインダーだ。ソニーは、最新のαシリーズのカメラにも同様のファインダーを使用している。遅延は、わずか0.005秒。 0.78xの倍率は、0.7xまたは0.74xに切り替えることができる。 The Status LCD screen. Photo credit: cinema5D カメラの上部には、バックライト付きの1.8インチモノクロLCDがある。消費電力は最小限なので常時オンとなっている。写真やビデオの設定、記録可能時間、バッテリーの残り時間など、さまざまな情報が表示される。また、このLCDパネルでオーディオメーターも表示されるので、モニターやビューファインダーでオーディオメーターをオフにして、表示をシンプルにすることができる。 オートフォーカス オートフォーカスに関しては、パナソニックによるとSH1は「レンズ、センサー、エンジン」を組み合わせた技術を使用している。つまり、レンズとセンサーが最大480 fpsで通信し、エンジンがすべての処理を行う。顔や目の検出と被写体追跡を備えた連続AFも可能だ。 LUMIX S1Hには、特定の被写体(人間や動物)を検出する高度なAIテクノロジーも組み込まれている。被写体が背を向けた場合でも追跡し続ける。 パナソニックのミラーレスカメラのオートフォーカス機能は、過去数回のファームウエアアップデートで大幅に改善された。昨年10月にリリースされたGH5およびGH5Sアップデートの結果をテストし、顔認識の大幅な改善を確認した。パナソニックは、それ以降、Sシリーズに関してもビデオのオートフォーカスをさらに改善し拡張機能を追加することを通知している。S1Hのオートフォーカスについても今後テストしたい。 カードスロット、レンズ、アクセサリーなど LUMIX S1Hの筐体は、マグネシウム合金フルダイキャストで構成されている。ダイヤルやボタンは耐候性が施されており、水や埃の侵入を防ぐ。使用温度は摂氏-10度まで凍結しない。多くの他社モデルの動作温度は摂氏0度までなので、これは大きなアドバンテージだ。 The right side of the camera. Photo credit: cinema5D カメラの右側には、UHS-IIおよびV90互換のデュアルSDメモリカードスロットがあり、リレー、バックアップ、およびアロケーションの選択ができる。最高のビットレートでも、両方のカードに同時記録できるのは驚くべき仕様だ。また、記録時にメモリカードのドアが開くとアラームが表示される「カードロック」機能も搭載されている。このオプションはオフにすることができる。 The left side of the camera. Photo credit: cinema5D 右側には、3.5mmジャック入力、ヘッドフォンジャック、内部バッテリーの充電に使用できるUSB-Cポート、およびフルサイズのHDMIポートがある。またカメラの前面には、フラッシュシンクロターミナルがある。このポートは、付属のBNCケーブルを使用して、タイムコード入出力ポートとしても機能する。バッテリーの持続時間は約2時間で、バッテリーの充電にも同じ時間がかかる。 The Panasonic LUMIX S1H flash synchro terminal that doubles as a time code in/out port. Photo credit: cinema5D 2つのRECボタンがあり、1つはカメラの上、もう1つは前面にあり、簡単にアクセスできる。 The second record button in front of the camera. Photo credit: cinema5D S1HはLマウントを採用しており、パナソニック、ライカ、あるいはシグマのLマウントレンズが使用できる。2020年末までに合計46個を超えるレンズとマウントアダプターの発売が予定されている。 パナソニックは、LUMIX S1Hに加えて、LUMIX S PRO 24-70mm / f2.8とLEICA DG SUMMILUX 25mm / f1.4 II ASPHの2本の新レンズも発表した。これらのレンズについては、別途レポートする予定。 S1Hには、HDMIケーブルロックホルダーなど、多くの付属品が同梱されている。 XLRアダプター(DMW-XLR1)、バッテリーグリップ(DMW-BGS1)、大きなアイカップ(DMW-EC6)、DCカプラーなどのアクセサリーはS1Hとネイティブに互換性がある。下の画像ですべてのアクセサリーが分かる。 List of compatible accessories. Image credit: Panasonic. S1HはBluetooth 4.2aおよびWi-Fi 5 GHzを採用しており、スマートフォンやタブレットを介して制御できる。 価格と発売時期 この記事の執筆時点で、LUMIX S1Hは4000ドルで、9月末に発売予定であることがアナウンスされた。 まとめ パナソニックはミラーレスフルフレームで後発だったため、最初にS1を発表したときはまだ顧客はこのカメラを採用するか迷いがあった。しかし、S1Hに搭載された映像制作に対する機能へのこだわりを見る限り、その心配は払しょくされるだろう。このカメラはまだテストしていないが、これまでのところ最も「プロ用ビデオカメラ」と呼べるほどのミラーレスカメラのように思える。今まで映画製作者がこのようなカメラに期待できることはほとんどなかった。内蔵NDもしかりだ。しかし、タリーライトや調整可能なフリップディスプレイ、高解像度ビューファインダー、調整可能な波形モニターやLUT、6Kアナモルフィック撮影や4:2:2 10ビットフルフレー/400Mbps/ DCI 4Kビデオなどを搭載したS1Hはこの状況を変えるかもしれない。 カメラが手に入ったら、詳細のテストをしたい。 関連商品 フジヤエービックのショップサイト Panasonic DC-S1H-K Panasonic DC-S1-K
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