PolarPro Quartzline NDフィルターレビュー

Gunther Machu2018.8.7

私は1年半前、GoPro Heroで同社のフィルターレビューを行っていたときに、PolarProシネマシリーズNDフィルターを知った。 （以前のレビューはこちら）。今回は、プロ用の大口径フィルター（最大82mm）をテストする。同社はニュートラルカラーバランスとほぼ完全な光学品質をアピールしているが、その真偽を検証しよう。

PolarPro Quartzline ND Filter

このレビューでは、新しいPolarPro Quartzline ND 64フィルターとPolarPro ND16 / PL（偏光）フィルターをテストしている。これらのフィルターは、99.9％の溶融石英でできており、非常に低い反射率で光学的透明性を確保している。フレームは機械加工された真ちゅうから作られており、スムーズな回転が保証されている。

PolarProは、光学コーティングによるニュートラルカラーバランス、ゼロカラーシフト、ほぼ完全な透過性を謳っている。フィルターとサイズの詳細については、こちらの記事を参照いただきたい。

テスト方法

この謳い文句が真であるかどうかを見てみることにしよう。テストではProRes 4：2：2記録のBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使用し、IRを除去するためHeliopanのフロント赤外線カットフィルタを装着している。

なおレファレンスとするため、Davinci Resolve 14のカラーマッチ機能をフレーム内のDataColor Spyder Checkr（Fig.1）とともに使用した。以下のすべてのシーンで、同じグレードを使用している。

Fig1.: The starting point with no ND filter, using the color match feature in Resolve

映像の比較

下の画像（Fig.2）は、NDなしとPolarPro ND 64フィルター装着時の比較をしている。これらは、晴天下で15秒の間隔で撮影されたので、周囲光の影響は無い。レンズはシグマ18-35mmを使用した。NDフィルターなしでは、シャッタースピードを上げる必要がある。PolarPro ND64フィルターで撮影した映像と比較すると、背景までフォーカスが合っている。

下の画像を見て分かるように、微妙な色の変化が認められる。特に顔の部分が分かりやすいだろう。もちろん、これは微妙な違いであり、後処理で簡単に調整することができるレベルのものだ。

Fig. 2: Comparing no ND vs. the ND64 filter: a slight color shift towards blue is evident

私の撮影形態は常にニューススタイルなので、Heliopan VariNDも比較に含めてみた。 Heliopan VariNDは強い色シフトを示し（最大位置の約2/3）、より黄色がかった色になってしまっている。 （下のFig.3を参照）

Fig. 3: Including the Heliopan VariND in the comparison: a more yellowish color cast can be seen on my face

また、PolarPro ND16 / PL（偏光）フィルターもテストした。 4ストップのND機能だけでなく、回転するとPL機能もある。これにより、より彩度の高い色を得ることができ、反射などを除去することができる。 （下のFig.4を参照）

Fig. 4: At the right angle of rotation of the front element, the ND16 polarizer filter helps to saturate colors and eliminates reflections.

ただし、回転角度を正しく設定するには注意が必要だ。カメラのLCDやEVFが低解像度である場合には、正確な外部モニターの使用をお勧めする。そうしないと、狙った色にならない場合がある。

Conclusion

固定NDフィルターを使用すると適切な露出を得ることができ、望みの被写界深度を作り出せる。 ND64（6stop）はとりあえず使って見るには、適度な濃さだろう。ただ、感度の高いカメラやレンズを使用している場合、たとえば、ソニーのα7S IIでS-LOG2撮影をする場合などは、PolarPro Quartzline 82mm ND100K（15stop）のような強力なNDフィルターが必要になる。

これらのフィルターは安価ではないが、色の変質がほとんどない高品質のフィルターだ。フィルターは多少高価でも高品質のものを使いたい。

上記のビデオで使用した音楽： Art-list. Theme: Listed Thoughts by Ziv Moran