富士フイルムインタビュー - X-T4や今後の展望を聞く

映像業界は現在厳しい状況にある。世界中で制作が延期や中止になっており、関係者は動きが取れない。メーカーも厳しい状況に立たされているが、開発競争は待ったなしだ。そこで、日本の主要なカメラメーカー数社に、現在の状況や、新製品開発に関してインタビューを行った。今回は富士フイルムへのインタビューをお届けする。

Toshi Iida-san at the FUJIFILM Omiya Office – Image credit:cinema5D

4月上旬、大宮の富士フイルムのオフィスに向かい、同社の光学電子映像事業部長、飯田年久氏にインタビューを行った。前回はGFX 100の発売について伺ったのでその記事も参考いただきたい。 (GFX 100の誕生ドキュメンタリーはこちらこちら)。

今回のインタビューでは、現在の状況と、業界が直面している課題、そして先日発表されたX-T4についてお聞きした。

cinema5D:現在新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にありますが、今後状況が元に戻ったとき、業界はどのようになるとお考えですか?

飯田氏:お話しする前に、COVID-19で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、患者様の一日も早い回復を願っています。そして、仕事を失ったフォトグラファーやビデオグラファーの方も大勢おられると思います。最近ではオリンピックなど、多くのグローバルイベントが延期や中止に追い込まれています。これは、すべての映像制作業界に大きな影響を与えます。現時点ではこれがいつまで続くのか予測できませんが、いつかすべての人が通常に戻ると信じています。

cinema5D:いくつかのケースを想定して計画を立てているのですか?

飯田氏:もちろんCOVID-19が私たちのビジネスにさまざまな影響を与えています。まず、中国の工場で、部品の製造と調達に影響を与え始めました。2月初旬のことです。その後、カメラの需要への影響が出始めています。まだ計画変更を言うのは時期尚早ですが、現時点では製品開発を維持できるよう努力しています。

cinema5D:他の日本のメーカーと、この状況について話し合うことはありますか? 特に状況を改善するために団結したり、一緒に何かをしたり、ということはありますか?

飯田氏:現時点では、どのような協力できるのかわかりません。個々の会社が、それぞれ努力して復興に努めていると思います。

cinema5D:先ほどおっしゃっていましたが、中国のメーカーの影響とはどのようなものですか? 部品の調達や人手不足ということでしょうか?

飯田氏:はい、従業員の不足と、部品の不足両方です。中国政府から旧正月の祝日を2月10日まで延長するようにと依頼がありました。そのため、休業期間を延長する必要がありました。 X-T4の生産を開始する時期だったので、本当に心配しました。幸い、政府がすぐに工場を通常の状態に戻しましたので、2月に操業を開始することができました。従業員と部品の不足のため多少制限がありましたが、すぐに挽回してくれました。現時点では、製造面についての心配はありません。

cinema5D:サンプルは日本製でしたが、日本で生産をしないのですか?

飯田氏:X-T4については、当初の計画通りです。需要が大きいので、当初から中国の工場で製造する計画でした。大きな需要に応えるには、中国での製造が適しています。

cinema5D:必要な量を製造することができ、オンラインで販売することも可能と思いますが、現在顧客の購買意欲が落ちています。これは心情的なものではなく、仕事を失うことにより収入が減っているからです。X-T4は非常に人気のあるカメラですが、メーカーとしてはどのように考えていますか

飯田氏:実際の需要も影響を受けるでしょう。ただ、お客様からの先行予約はすでにいただいています。お客様はまだ購入したいと思っていますし、良い製品を手に入れたいと思っています。ただ、物流に関して多少制限があります。たとえば、倉庫は100%稼働しておらず、閉まっている店舗もあります。しかしX-T4をオンラインで購入するお客様も大勢おられます。

cinema5D:そうするとキャンセルはそれほど発生していないのですね?

飯田氏:X-T4に関する限り、そのような状況は見られません。

cinema5D:富士フイルムは在宅勤務をされていますか?

飯田氏:平時は自宅で仕事をすることは推奨していませんが、今は仕事のスタイルを調整する必要があるかもしれません。しかし、製品の開発のスピードは落としたくないですね。現在は同じペースで製品開発に注力しています。

FUJIFILM X-T4 Image credit: cinema5D

cinema5D:X-T4についてですが、開発は非常に短期間でされたようですね。 X-T3は約1年販売されました。

飯田氏:もう少し長く、約1年半くらいだと思います。

cinema5D:通常より少し速いと思いましたが、早急に搭載したい機能などがあったのでしょうか?

飯田氏:18ヶ月前にXT-3を導入しましたが、特に速度とビデオ画質に関して、多くの肯定的なフィードバックが来ました。私たちはそれを非常に誇りに思っていますが、同時に、特にIBISと、より大きな容量のバッテリーの要求が来ました。そのため、お客様のニーズにできるだけ早急に対応する必要があると考えました。センサーとプロセッサーについてはすでに確立されているので、新しいIBISユニットを開発するのは時間の問題です。これは小さなIBISユニットです。以前は、X-H1用のIBISユニットがありました。 X-H1は多少大きく重かったのですが、私たちは、20%小さくて軽い小型のIBISユニットを開発しました。また、このIBISユニットを実現するために、新しいメカニカルシャッターも開発しました。更に、新しいバッテリーも開発しました。これらの主要コンポーネントで、お客様の要求をほぼ100%満たすと考えています。私たちの情熱はX-T3をさらに進化させることでした。

cinema5D: XT-3の販売は継続するのですか?

飯田氏:はい、XT-3は良いカメラです。 XT-4よりも手頃な価格でXT-3を購入できます。

cinema5D: XT-4の開発で最も苦労された部分は何でしたか?

飯田氏:IBISユニットだと思います。パフォーマンスを損なうことなく小さなIBISユニットを実現することです。このIBISは、従来の5.5 stopに対し、最大6.5 stopまで補正します。小型ですが、以前よりも強力で安定したIBISユニットです。更に耐久性も優れています。

Toshi Iida-san with FUJIFILM GFX100- Image credit: cinema5D

cinema5D:ミディアムフォーマットのGFX100についてですが、ビデオ画質の点で非常に優れていますが、かなり高価で、またフォトグラファーに向けたカメラです。そして、ミディアムフォーマットは御社にとってのフルフレームフォーマットと宣言されました。

飯田氏:はい。

cinema5D:一方、フルフレームカメラの価格は安価になりつつ、性能は向上しています。将来的には、ミディアムフォーマットカメラの価格も下がり、フルフレームカメラと価格面で競争できるようになるでしょうか?

飯田氏:もちろん、競争については十分に認識しています。すでに非常に魅力的な価格でGFX50を発売していますが、素晴らしい反応をいただいております。GFXを主流の製品にすることは常に私たちの目標で、そのためにはより手頃な価格で、より小型で軽量にするための努力を続ける必要があります。これは私たちが注力していることの1つです。

cinema5D:更に高機能で低価格になると期待しています。

飯田氏:これはGFXを主流の製品にしたいという、私たちの願望です。

cinema5D:ビデオ機能に関して言えば、カメラメーカーにとっても非常に重要なものになりました。現在のカメラは一般に非常に優れていますが、個人的には、単に機能を追加しただけでは、ユーザーの注意を引くには不十分だと思います。多分、まったく新しいコンセプトを考える必要があるでしょう。これについては、何かされていますか?

飯田氏:ご存知のように、私たちはシネマカメラに関しては後発です。X-T3から始まったばかりです。しかし、私たちは多くを学び、追いつき、このX-T4は更に高いレベルに到達しました。しかしもちろん、これで終わったわけではありません。私たちはユーザーの声に耳を傾けており、映画制作者やビデオグラファーから、機能、デザイン、使いやすさ、アクセサリーなど、多くのことを学んでいます。常に次のステップを探しています。

cinema5D:レンズについてはいかがですか?御社には素晴らしいMKレンズがありますが、これはSuper35mm用です。御社にはミディアムフォーマットカメラがあり、他のメーカーにはフルフレームがあります。これらのフォーマットに対応するレンズについての計画はありますか?

飯田氏:既に競争の激化している市場で、どのように差異化するかを考えてきました。そしてお客様が私たちに期待しているものを見つけました。レンズと色再現です。私たちは、大きな放送用レンズやシネズームレンズなど、非常に幅広い種類のレンズを持っています。そして、そのようなハイスペックなプロ仕様のレンズの技術を、メインストリームのレンズに使用することができます。先のMKレンズもその一例です。 GFレンズやXFレンズも交換レンズで、その技術を使用して優れたビデオ対応のレンズを作ることができます。レンズと、フィルムルックの色の再現性は、主要な利点です。私たちはレンズとビデオの色再現性についても投資したいと思っています。

cinema5D:アナモフィックレンズは、自己表現のツールとして、非常に人気が高まっています。他とは違う映像表現が求められています。問題は、非常に高額であり、低価格のものは表現力が不足している場合があります。アナモフィックレンズについてはいかがですか?

飯田氏:たくさんのご要望をいただいていますが、先ほど紹介したのはPremistaという2つのシネズームレンズです。これは、ラージフォーマットシネズームです。反応は非常にポジティブです。従って、アナモフィックレンズの前に、現在のプロジェクトに集中したいと考えています。将来的には分かりませんが、現在はこのプロジェクトに集中したいと思っています。

cinema5D:ありがとうございました

 

これは今回最初のインタビューですが、インタビューを希望して欲しいいメーカーがあれば、下のコメントセクションでお知らせください。

 

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