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極寒下での撮影を考える ➖ 氷河撮影での試み

極寒下での撮影を考える ➖ 氷河撮影での試み

Cinema5Dでは注目のクリエーターを紹介しているが、今回はRaphael Rogers氏を取り上げる。彼はアラスカで溶解する氷河を撮影しており、極寒下での撮影についてレポートしている。ビデオのストーリー展開、映像の捉え方、音楽の選択などにも注目してほしい。

数ヶ月、我々はアラスカで過ごすことを決めた。もちろんカメラも一緒だ。この未知の世界で起こる何かを記録したいと思ったのだ。この時期、航空券は大変安く、300ドルでLAとアンカレッジを往復できる。それが大きな理由でもあった。観光客目当てのものはほとんど閉まっており、そしてとにかく寒かった。

我々はLAの映像クリエーターだ。サイエンス系の撮影から、ミュージックビデオ、コマーシャルなど、あらゆる種類の映像制作を行っている。

Auraの他の作品はこちら。www.weareaura.net

Filming in cold environments like Alaska - Shooting with a Sony a7S II on a glacier

極寒下での撮影準備

機材の準備の前に、自分自身の準備をしなければならない。まず防寒を念入りに行い、十分な軽食も用意する。氷河を何時間も歩き、泥や水や雪や氷の中も歩かなければならないからだ。次にバッテリー。多くのバッテリーを持っていかなければならない。ご存知のようにバッテリーは極寒の環境下ではその容量が低下する。従って、温かく保たなければならない。

あたり前のことだが、機材を正しく取り扱うと正しく動作する。以下にどのように撮影したかを詳しく書くが、このような特殊な環境下で撮影をうまくやるには、場所や状況に応じて正しく機材を取扱う知識が必要だということがよく分かった。

Shooting in cold Alaska, filming the glacier

機材について

我々は主にソニーのα7SIIと、ikan のDS1 Beholderジンバルスタビライザーにマウントしたα6300で撮影した。ドローンでの空撮はDJI Phantom4を使用している。

ヒント:ikanのEC1 Beholderも持っているが、こちらのほうが格段に良い

α7SIIとα6300は極寒下でも問題なく動作した。バッテリーの問題も起こらなかった。Phantomは、バッテリーが低温すぎるというアラームが出て、何度か離陸できないことがあった。その為、クルマのヒーターでバッテリーを温めて、改めて装着する必要があった。クルマが近くにないときは、コートにバッテリーを入れて、体温で温めると良いだろう。

ヒント:ドローンを寒冷下で飛ばすときは、DJIのPhantom3シリーズに用意されているバッテリーヒーターを使用することをお勧めする。Inspire1にもバッテリーヒーターが用意されているし、新しいInspire2にはバッテリーが自分で保温する機能が備わっている。残念ながらPhantom4にはヒーティング機能はない。

ヒント2:バッテリーは40℃以上に暖めると破損する危険性があるので注意。

この時期アラスカでの撮影で最も大変だったのは、寒さではなく雨だった。雨中でもPhantomは問題なく動作したが(お勧めはしない)、戻ってくるまでにびしょ濡れになり、何度もレンズを拭く必要があった。

Shooting with a drone in cold environments - Phantom 4 aerial shot

撮影を通して分かったこと

正直なところ、ジンバルは ikan EC1 Beholderにすればよかったと思っている。こちらのほうがもっと安定した画になっただろう。氷河を歩くので大変滑りやすく、本格的なアイゼンもレンタルしたのだ。殆どのショットは行きあたりばったりなので、どのように状況が展開するのか、常に予測していなければならなかった。天候にも十分注意する必要があった。

編集を含め後処理はAdobe Premiereで行っている。カラーグレーディングはLumetriを使用した。すべてPremiere内で行えるのは大変便利だ。内容は気候変動のドキュメンタリーだ。一人称のドキュメンタリーにしたかったのだが、作品はうまくできたと思っている。

撮影はアラスカのSewardという街で行っている。ここに行くまで(ビデオで語っている)Rick氏を知らなかったのだが、運良く彼と知り合えたのだ。この作品を楽しんでいただければ幸いだ。

Featured video created by:
Raphael Rogers, Paul Rennick and Kristin Gerhart

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