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Ulanzi DOFアダプターレビュー

Ulanzi DOFアダプターレビュー

数週間前、Ulanzi DOFアダプターのファーストインプレッションをリリースした。今回は、実際に使ってみたレビューをお届けする。

まず、プロの観点から見ると、スマートフォンでDOFアダプターを使用するという考えには疑問が浮かぶ。当然のことながら、これらのアダプターはレンズがどんなに優れていても、完璧な映像を得られることはない。

しかし適切に使用するなら、期待したよりも良い結果を出すことができる。制限を回避し、可能な限り良い画像で収録する方法について、いくつかの実用的なヒントを書いてみたい。

スマートフォンでビデオを撮影するということは、制限を認識して撮影することだ。前回紹介したiPhoneで撮影したビデオ「Snowbrawl」は、非常に慎重に制作されている。確かにiPhoneで撮影されている映像だが、非常に慎重に撮影されている。あたかも未完成のベータ版ソフトウェアの特定の機能のみを注意深く選択して使うのと同じような感覚で、意図的に弱点を避ける。そのためには、どの部分が使えるのかを認識する必要がある。それがスマートフォンで美しい映像を撮る秘訣だ。

Ulanzi DOFアダプターレビュー

その考えをしっかりと念頭に置いて、Ulanzi DOFアダプターを使ってみたい。

ハードウエアの品質

Beastgrip DOF MkIIと比較すると、安価なUlanzi DOFアダプターは材料と構造の点で劣っている心配があった。しかし実際には高品質のオールメタル製だ。 別売の、Ulanziケージも金属製で非常によくできており、Ulanzi DOFアダプターをケージに入れると信頼性が増す。ただし、DOFアダプターをケージに入れる場合、ねじ山が破損しやすいので慎重におこなう必要がある。

また、使用するレンズに合わせてレンズマウントアダプターを購入する必要がある。 今回はiPhone 11 Pro MaxとiPhone XS Maxのケージとともに、下の写真のM42-Sony Eアダプターを使用している。

DOFアダプターとケージはどちらもアルミニウム合金製で、耐久性がある美しい仕上げだ。

レビューに使用したiPhone XS Maxケージは、蓋を固定する磁石の1つが接着されていなかったが、機械加工の品質と仕上げに問題はなかった。残りの磁石で固定され問題なかったが、残念なことのひとつだ。

スマートフォンは、柔軟性のある透明なプラスチックカバーに入れたうえで装着するので、金属面と直接接触することはなく、保護されている。

使いやすさ

DOFアダプターはフルフレームのフォーカシングスクリーンを持っているため、非常に大きくなる。必要以上に大きくはないが、今回選択したソニーEマウントでは、もちろんレンズも大きくなる。

Ulanzi DOFアダプターをケージに入れ、Sony E to M42アダプターとHelios 44-2をマウントすると、専用カメラと変わらない大きさと重さになってしまう。これでは明らかに疑問が残る。フルフレームのミラーレスカメラではなく、DOFアダプターとスマートフォンで撮らなければならない理由は何だろうか?

これはいい質問だ。iPhoneで撮影を楽しむということ以外は、良い答えが見つからない。筆者の場合は、すべてを指先で直感的に操作できる画面上のコントロールが気に入っている。カメラをアプリで操作し、物理的なボタンやノブなどのハードウェアではなく、ソフトウェアとタッチスクリーンによる操作性が心地よい。

スマートフォンのカメラが好きなのは、それがプロのカメラ業界以外のところで開発されているからだ。毎年映画や放送番組を見ていると、それがイノベーションの始まりになるかもしれないと考えることがある。スマートフォンのカメラには、従来のカメラのようなハードウェアではなく、カメラとはどうあるべきか、どのように使うべきかという押し付けがない。

ただし、DOFアダプターでは、マニュアルレンズしか使えないため、オート操作に慣れている場合は使いにくいかもしれない。

現在のところ、DOFアダプターはスマートフォンのカメラで浅い被写界深度を得る唯一の方法で、筆者は球面収差が多少あるが、写真でも使っている。

機能性

DOFアダプター、マニュアルレンズ、ビデオ記録アプリの組み合わせが、全体的な機能を決定する。 Ulanzi DOFアダプターは、期待通りに機能しするが、うまく撮影するにはある程度経験が必要だ。

手振れ補正

DOFアダプターを使用する場合、失われる2つのことは、手振れ補正とオートフォーカスだ。三脚に乗せているときでさえ、わずかな振動でショットが台無しになる可能性がある。これは、BeastgripもUlanziも、従来のDOFアダプターのようなすりガラスのスタイルを採用しているのが理由の1つだ。スマートフォンのカメラは、微振動に非常に敏感にできている。

DOFアダプターを装着して手持ち撮影するのは現実的ではない。実際、このアダプターを使って撮ったというオンライン上のサンプルビデオの多くは手持ちで撮っており、観るに耐えない

マニュアルレンズ

また、フォーカスと絞りはマニュアルだ。スマートフォンには外部の電子制御されたレンズと接続する方法がないため、DOFアダプターでは、電子制御の絞りやフォーカスを備えた最新のレンズは使用できない。

そのため、必然的にマニュアルレンズを使用することになるが、ビンテージSLRレンズは完全に機械的で、アダプターで非常にうまく機能する。 Sony EマウントのUlanzi DOFアダプターの利点は、PLを含むほぼすべてのレンズマウントに適合できることだ。

問題点の回避策

スマートフォンとDOFアダプターを使用してビデオを撮影することに大きな期待を持ってはいけない。アプリを開き、完璧なボケ味を得られると思っていると失望する。そのような期待を持っているなら、DOFアダプターはお勧めできない。

Ulanzi DOFアダプターを使用して、見栄えの良いビデオや写真を撮影することができるが、それなりに努力する必要がある。マウント、手振れ補正、あるいは記録に関して適切に操作する必要がある。DOFアダプターを最大限に活用するには、積極的な努力が必要だ。

画質

Ulanzi DOFアダプターの画質は、多くの要素に依存する。レンズなどは別にして、フォーカシングをする場合、フォーカシングスクリーン自体の制限もある。

解像度

アダプター内のフォーカシングスクリーンは、標準のキヤノンフォーカシングスクリーンだ。マイクロプリズムのような非常に細かい同心円状のリングを使用し、レンズで焦点を合わせた映像をスクリーン上で可視画像にする。アダプターを使用して写真を撮影しズームインすると、実際にこれらのリングを確認できる。

4Kで撮影しても、このフォーカシングスクリーンの解像度は4Kよりもはるかに低い。4Kで記録した映像でも 1080pのものとあまり変わらない。下の写真は、このアダプターを使用したもの。細かいディテールが失われている。

しかしこれは必ずしも悪いことではない。最近のスマートフォンのように非常にシャープな4K映像と比較して、わずかに柔らかい感じが好ましい。

テクスチャ

フォーカシングスクリーンはフィルムと同じで、テクスチャを付加する。これは、筆者が非常に気に入っていることの1つだ。非常にオーガニックなアナログ感を得ることができる。

球面収差

球面収差は、画像全体を均一に合焦できない場合に発生する。フレームの中心に合焦している場合、フレームの端では、フォーカシングスクリーンの少し前または後ろに合焦する。これにより、フレームの端ではフォーカスが甘くなる。

下の写真では、フェリーの中心に焦点を合わせているが、船首と船尾のディテールや、ターミナルビルのルーフラインのフォーカスが甘くなっている。

これは、アダプターの光学的な問題であり、スマートフォンのカメラレンズとフォーカシングスクリーン間の距離が短いことが原因であると考えられる。アダプター内にはマクロレンズがあり、短い距離でフォーカシングスクリーンにスマートフォンカメラを合焦させる必要があるが、この問題を光学的に修正することは非常に困難と思われる。

この解決策を次に説明したい。

Ulanzi DOFアダプターで撮影する場合のヒント

以下の方法を使用すると、Ulanzi DOF Adapterで驚くほど素晴らしいビデオを撮影できる。

三脚を使う

フルードヘッド付きのビデオ三脚を使う。これにより、安定した静止ショットが得られ、スムースなパンやチルトができる。

DOFアダプターを使用して手持ち撮影は難しい。

明るいレンズを使う

Ulanzi DOFアダプターには、明るいレンズが必要だ。球面収差を見えなくする最良の方法は、被写体を背景から浮き上がらせることだ。そもそもDOFアダプターを使用する理由は被写界深度を浅くするためで、絞りは開放近くにする。

ただし、常に開放にする必要があるわけではなく、明るい太陽​光下ではf / 5.6からf / 8まで使っている。これはレンズの焦点距離と被写体までの距離にも依存する。これを実現するには、明るいレンズを使用することをお勧めする。f/ 1.2あるいはf / 1.4〜f / 2を使用する。

非常に明るい日光の下では、NDを使用してシャッタースピードを遅くしたい場合がある。筆者はPolarPro VNDフィルターを使用しているが、露出とシャッター速度を制御するのに必須のアクセサリーだ。

ショットの構成を吟味する

そして最も重要なヒントは、ショットをどのように構成するかについて慎重に考えることだ。被写体を目立たせる場合、フレーム全体に焦点が合わないようにする。

フレーム全体に焦点が合うと、平らな映像になってしまう。フレームの端にあるオブジェクトを意図的にぼかすよう、ショットの深さを考慮する。遠近感を操作し、ショットをレイヤー化すると、見せたい被写体がはっきりする。

下の写真では、チョークボードのサインに焦点を合わせている。フレームの中心に向かって焦点があっているが、フレームの右側では少し不自然にぼけている。これは球面収差の影響だが、フレームの左半分では、自然なぼけのため、この影響はあまり目立たない。

浅い被写界深度がポイントなので、被写体に注意を向けながら、フレームの端は自然にぼけるように設定する。

これを意識して撮影した上の写真では、球面収差は全く気にならない。

まとめ

Ulanzi DOFアダプターは、努力を惜しまないなら誰でも使用できるツールだ。美しい映像を撮るためには積極的で思慮深い努力が必要であり、そうすることによって見栄えの良い結果が得られる。

スマートフォンでのビデオ撮影を試してみたい人にはお勧めしたい。ただし、上記で説明したようなノウハウも駆使していただきたい。

しかし全ての人にお勧めできるわけではない。簡単に撮影したい場合は、お勧めしない。

 

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