2019.8.15 Mark Zdunnek
ThingyfyがPinhole Pro X 18-36mmピンホールレンズをKickstarterに登録した。「世界初のピンホールシネマズームレンズ」だ。5,000ドルの目標額に対し、すでに世界中の支援者から80,000ドルを集めている。このキャンペーンは約50日が残っている。 Pinhole Pro X – Mount Option Lineup ピンホールレンズは、芸術的な表現を行うためのツールだ。このプロジェクトは、マーストングリーン(イギリス)で開催された「The Photography Show」(TPS)2019で初めて公開され、Thingyfy(カリフォルニア州チノ)によって開発された。多くの人がこれを待っている。 Thingyfy Pinhole Lens Family Pinhole Pro X 18-36mmは、同社の既存のPinhole Pro(マルチアパーチャプライムレンズ)とPinhole Pro S(シングルアパーチャピンホールレンズ、広角)に追加された製品で、独特の映像表現ができる。これを達成するため、同社は映画学校での「カメラ・オブスクラ」の映画史の口座から古典的なテクニックを採用している。そして、現代のテクノロジーと高精度の製造技術を融合し、独特の映像表現を可能としている。同社は、この印象的なピンホール映像のルックは、一般的なデジタル方式では実現できないと述べている。 Camera Obscura: Explanatory Graphic The Pinhole Principle (Optics) EF、A、F、E、X、マイクロフォーサーズマウントに対応しており、焦点距離が18-36mmのピンホールレンズ、アルミニウムレンズキャップ、キャリングケースが付属する。CPL、ND2、UVフィルターなど多くのアクセサリーも用意されている。 レンズはアルミニウムの筐体を持ち、精密に作られた2倍ズームレンズだ。マイクロメートルの精度で作成され、古典的な映像を求める愛好家用として作られている。同社はこれを最新のテクノロジーと組み合わせ、ほぼすべてのDSLRやミラーレスカメラで使用できるようにしている。これにより、古典的な映像を最新技術による高ISOや高感度で実現することができる。 レンズの製造に使用される技術は、精密マイクロドリルと呼ばれている。このマイクロドリルは、機械的なピンパンチ、化学エッチング、さらにはレーザーエッチングなど高度な技術が使用されている。この手法を使用すると、ピンホールの形状が丸く滑らかになり、0.05mmの極小のピンホールサイズを実現できる。この機械工学により、焼けたり腐食したファジーエッジの問題を起こすことなく、滑らかなエッジが保証されるとしている。 キックスターターでは 40〜60mm(EF、A、F、E、X、マイクロフォーサーズマウント)のDSLR / SLR用、または18-36mmのミラーレス用のPinhole Pro Xを入手できる。価格はどれも69ドル。 Thingyfy Pinhole Lens Comparison Chart 最後に 実際の映像については、Kickstarterのキャンペーンサイト内の動画を確認いただきたい。 なお、これはクラウドファンディングプロジェクトであり、販売店ではない。製品やサービスが実現しないというリスクが常にあるので注意いただきたい。
続きを読む2019.8.11 Mark Zdunnek
Benro Gearは、Benro Xシリーズジンバルを発表した。5種類が用意されており、3XS Lite($ 99)と3XS($ 119)はスマートフォン用、3XM($ 399)および3XD($ 499)はDSLR/ミラーレスシングルハンドジンバル、3XD Pro($ 699)はデュアルハンドルだ。 Benro X-Series: Lineup (product images, © 2019 Benro) Benroは中国のメーカーで、この一連の製品群により、ジンバルの市場全体をカバーする。ジンバルは現在、DJI、Zhiyun、TILTAなどのブランドが有名だ。このようなマーケットにどのように食い込んでいくのかが注目される。 今回の記事はニュース投稿を参照しており、製品の品質や機能について実際に確認したわけではない。しかし、発表された情報から、これらのジンバルの特徴が伺える。 まず、耐荷重に関しては、3つの異なるカテゴリーが存在する。 スマートフォンジンバル3XS Liteおよび3XSは、通常のiPhoneやAndroidスマートフォンに対応する。 3XMジンバルは最大約1.77 kgの耐荷重。 3XDおよび3XD Proは、最大約3.76 kgの耐荷重。 参考までに、DJI Ronin Sの耐荷重は約3.6 kg、DJI Ronin SCは約2 kgだ。 Benro X-Series gimbals (credit: Benro) スマートフォンジンバル:3XS Lite(99ドル)と3XS(119ドル) 3XSと3XS Liteは非常に似ている。主な機能は次のとおり。 折り畳み可能(持ち運び、収納、持ち運びが簡単) 自動回転(ワンクリック) さまざまな撮影モード マイクジャックコネクター(内蔵) バッテリー連続使用時間:24時間 3軸ジンバル カスタムキー Benroコンパニオンアプリケーション ユニバーサルアダプター 収納用ポーチが付属 底面に¼インチネジ穴を用意 以下は2つの製品の違い。 Benro 3XSは、有線充電に加えてワイヤレス充電が可能 Benro 3XS Liteには収納袋とミニ三脚のみ付属。3XSにはオーディオケーブル、iPhone充電ケーブル(ライトニング)、Android充電ケーブル(マイクロUSB)が付属する。 搭載できるのはスマートフォンで、耐荷重は明記されていないが、どちらも同じと思われる。 Benro X-Series: 3XS and 3XS Lite (product images, source: Benro) DSLR/ミラーレスジンバル:Benro 3XM(399ドル)および3XD(499ドル) 製品の仕様だけを見ると、これらのジンバルは非常によく似ている。 3XMおよび3XDの仕様: 自動回転 45度オフセット(3XDのみ) さまざまな撮影モード バッテリー持続時間は12時間 耐荷重:3XMは最大約1.77 kg、3XDは最大約3.76 kg 折り畳み可能 3軸ジンバル カスタムキー ユニバーサルアダプター Benroアプリ キャリングケース オーディオケーブル 2つのキャリーポジション 方向制御 ¼インチネジ穴(3XM)および3/8インチネジ穴(3XD) これら2製品の違いは、各製品に付属するアクセサリーパッケージにある。 安価な3XMジンバルには、2つのバッテリー、ソニーカメラ用ケーブル、パナソニックカメラ用ケーブル、充電器、USBケーブル、レンズサポートアダプターが同梱されている。 3XDではさらに100ドル追加すると、これらのアクセサリーに加えて、キャリングケース、キヤノンカメラケーブル、小型の三脚スタンドが提供される。三脚スタンドは3XDにのみ対応する。 ウェブサイトの写真では、3XMにも三脚スタンドがあるが、リストには三脚スタンドは記載されていない。 3XMの画像では、三脚スタンドを収納するスペースは無いようだ。 また、3XDには3XMとは異なるキャリングケースが付属しているように見える。 Benro X-Series: 3XM and 3XD (product images, source: Benro) デュアルハンドルDSLRジンバル:3XD Pro(699ドル) 3XD Proは、このラインアップでは最高級のジンバルだ。 機能は上記の3XDおよび3XMとほぼ同じだ。 自動回転 さまざまな撮影モード 45度のオフセット 最大約3.76 kg(3XDのみ)の耐荷重 3軸ジンバル カスタムキー ユニバーサルアダプター Benroアプリ キャリングケース(3XDのケースのように見えるが、デュアルハンドルも収納できる) 更なる特徴 内部オーディオケーブル 13時間のバッテリー連続持続時間 デュアルハンドル/調整可能なスイベルハンドル三脚 3つのバッテリー Mini、Micro、およびFull HDMI対応の3x Mini HDMIケーブル アプリの機能には、モーションラプス、パノラマ機能、カメラのリモートなどが含まれる。(対応カメラ) Benro – X-Series 3XD Pro (product images, source: Benro) まとめ BenroのWebサイトには、この記事の執筆時点で明らかな間違いがいくつか含まれており、機能やその違いが明確でないところがあった。他のニュースサイトではそのまま転記されているところもある。この記事ではできるだけ誤情報を避けるよう気を付けたつもりだ。しかしそれでも誤情報を見つけた場合はお知らせいただきたい。
続きを読む2019.8.6 Mark Zdunnek
OSEEは中国のモニターメーカーで、3000nit SDI / HDMI 4K UltraHD入力対応モニターOSEE G7と、SDI入力なしで安価なT7を発表した。どちらもフルHD 1920 x 1200 px LCD IPSパネルを使用している。価格はG7が899ドル、T7が499ドル。 OSEE G7 & T7 – 4K 3000nits – 1920x1200px – 1200:1 LCD IPS Panel まず強調したいのは、どちらのモニターも競争力のある価格で優れたスペックを満載していること。ただし、cinema5Dでは今まで同社の製品を掲載したことが無く、このスペックがどの程度のパフォーマンスを持っているのかは紙上で判断するしかない。今回は同社に関する初の記事となる。 このモニターには1200:1のコントラスト比のIPSパネルが装備されており、3000nitの明るさとされているため、直射日光下でも視認できる。同社によると、フードを使用しなくてもシャープで明るく、見やすいとしている。また5方向のジョイスティックがあり、これでメニューを操作する。これもまた、プロ用途を前提に作られている。 このモニターにはアナモフィックスクイーズ解除(他にも1.33、1.5、1.66などの複数のオプション)、DSLRスケール、ピーキングなどの機能がある。また、偽色、波形、ベクトルスコープ、ゼブラ、ヒストグラム(RGB、Luma)などの露出補助ツールも用意されている。多くのカメラ用のマーカー(セーフフレーム、エリア、センター)、クロスハッチ、プリロードLUTおよびカスタム3D LUT(SDカードからロードでき、最大16種類をサポート)も利用可能だ。 このモニターはSmallHD UltraBrightモニターシリーズと似ているところがあるが、OSEE G7&T7モニターはシーンレイアウトの編集と切り替えを特徴としている。このレイアウトスイッチを使用すると、さまざまな撮影環境に合わせて、複数の表示設定をすばやく切り替えることができる。これは前出のジョイスティックで行う。 入出力 HDMI: – 2160p (30/29.97/25/24/23.98) – 1080p (60/59.94/50/30/29.97/25/24/23.98) – 1080i (60/59.94/50) – 720p (60/59.94/50) – 480p (60), 576p (50) SDI: (not available with the T7 monitor) – 2Kp (60/59.94/50) – 1080p (60/59.94/50/30/29.97/25/24/23.98) – 1080i (60/59.94/50) – 1080SF (30/29.97/25/24/23.98) – 1035i (60/59.94) – 720p (60/59.94/50/30/29.97/25/24/23.98) OSEEは、対数曲線表示をRecに直接変換するため、20を超えるDe-logおよび3D LUTの選択肢を統合したと述べている。OSEEはメジャーなカメラブランドの他にも、富士フイルム、DJI、GoProなどの曲線変換も実装したと述べている。 OSEE G7 & T7 – Backside and Connectors – Power-Supply with NPF batteries. 儀色 モニターの偽色機能に関しては、ユーザーは16種類の(対数)曲線のリストから選択し、露出オーバー、露出アンダー、肌の色調、18%グレーに関する詳細な色情報を見ることができる。 偽色に対する曲線の選択: – Sony LC709A – Sony LC709 – Sony S-Log2 – Sony S-Log3 – Panasonic V-Log – Panasonic V709 – Blackmagic Design – Blackmagic Design 4K – RED RG3a – RED RG4 – RED LOGFILM – RED RL3G10 – Canon C-Log2 – Canon C-Log3 – ARRI Log-C – ARRI Rec. 709 アクセサリー 以下は、Vマウントバッテリープレート付きの電源、ケース、サンフードなど、利用可能なアクセサリーの概要。 OSEE G7 & T7 Accessories まとめ どちらのモニターにも多くの機能があるが、多くの分からない点もある。 モニター内部の4Kリアルタイムダウンスケーリングには、通常、内部に強力なコンバーターが必要となる。それが無い場合は遅延が発生する。過去にいくつかのモニターをテストしたが、特にあまり知られていないメーカーのモニターでは遅延が見られた。 3000nitsは、現在のフィールドモニターでは大きなポイントだ。今後テストしてみたい。 品質の評価については実物を手にする必要がある。 Convergent Design(モニター/レコーダー)などのメーカーはOdyssey 7Q +などの製品で、鋳造マグネシウムとアルミニウムの組み合わせなど、厳しい気象条件に耐える高品質の材料を使用している。それらはまた、高品位の精密な部品が使われており、経年変化にも優れている。 オーディオメーター:OSEEモニターは2チャンネルのオーディオメーターを搭載しているが、他社製のモニターは最大8チャンネルのオーディオメーターを装備している。 スクリーン保護:他社はAR接着剤付きゴリラガラスを使用している。これについても不明だ
続きを読む2019.7.17 Mark Zdunnek
ソニーがアイルランドのダブリンで特別イベントを開催し、α7R IVを発表した。実に61.0メガピクセルセンサーを搭載する初のカメラだ。なお日本での発表はまだ無い。 Sony A7RIV – The Resolution Beast – 50+ Improvements α7R IVの概要 以下が主な仕様 世界初の35mmフルフレーム61.0 メガピクセルイメージセンサー(Exmor R CMOSセンサー) BIONZ Xイメージプロセッサ(最新世代) 4K HDR / S&Q 15stop拡張ダイナミックレンジ 5軸光学手ブレ補正(シャッタースピード5.5段、CIPA規格) フルAF / AE追尾で10fps連写撮影 画像領域の74%をカバーする567の焦点面位相差AFフレームと425のコントラストAFフレーム 静止画/移動/人間/動物に対応したリアルタイムアイAF(ソニーのすべてのカメラで初めて) リアルタイムトラッキング 566万ドットUXGA OLEDファインダー(Tru-Finder™) 接続性と操作性の向上 4Kムービーレコーディング、S-Log 2/3、HLG アップグレードされた耐塵性と耐湿性/耐久性 デジタルオーディオインターフェース付きマルチインターフェースシュー(MIシュー) ISO範囲:100 – 32000 ISO(拡張可能:50 – 102400 ISO) Eマウント スーパー35mmモード:ピクセルビニングなしのフルピクセル読み出し 高速Wi-Fi(2.4 GHzおよび5 GHz)を介した高速ワイヤレスデータ転送 超高速データ伝送用のSuperSpeed USB(USB 3.2 Gen 1)USB Type-C™コネクター 更新されたハンドグリップ Sony A7RIV – 567 point focal-plane phase-detection AF また、このカメラにはデュアルUHS-II SDカードスロットと洗練されたフォーカス制御が搭載されている。ただし、このカメラでの内部記録は8ビット(4:2:0)に限られている。残念ながら、HDMI出力についても同様だ。 このカメラのISO性能と肌のトーンのグラデーションの向上が期待されるが、手に入り次第レビューを行いたい。 Sony a7R IV – Small, Light and Rugged 動画撮影機能 動画撮影機能に関して特筆できるのは、連続記録時間に制限が無くなったこと。また、6Kオーバーサンプリングで4K(3840 x 2160px)撮影を行い、ISO 500ネイティブS-Log 2とS-Log 3で14stopのダイナミックレンジを持つ。更にリアルタイムトラッキングもサポートしている。タッチスクリーンでのリアルタイムEye-AF、そしてワンプッシュフォーカス機能も搭載している。ビデオ撮影でも高速で滑らかな、そして信頼できるファストハイブリッドAFシステムを採用している。 美しいスローモーションのためのハイフレームレート(HFR)記録も搭載。フルHDで最大120fpsの高速記録が可能だ。ただしこれは100Mbpsに制限されている。これにより最大5倍のスローモーションまたは60倍のクイックモーションが可能。 またHDMI Type-Aコネクターを備えているが、特に言及すべき重要な機能は、カメラモニターはHDMI 4K出力(24p)での接続中もオンにキープできること。 また、動画専用メニューも採用された。オーディオに関しては、新たにデジタルオーディオインターフェースが搭載されている。 α7R IVの価格は、およそ4000ユーロ(推定小売価格)とされている。出荷は2019年8月の予定。 このカメラは特にプロの映像クリエーター向けではなく、フォトグラファー向けのカメラだ。 Sony a7R IV – Professional Movie Sony a7R IV – 61 Megapixel CMOS Exmor R Full-Frame Sensor アクセサリー α7R IVと並行して、3つの新しいアクセサリーも発表された。縦型ハンドグリップ、デジタルショットガンマイクロホン(ECM-B1M)、XLRアダプターキット(XLR-K3M)だ。 縦位置ハンドグリップ α7R IVに対応した縦位置バッテリーグリップVG-C4EMも用意されている。これはバッテリー容量を2倍にでき、特に静止画撮影で縦位置モードでカメラを保持するためのグリップだ。グリップには2個のNP-FZ100バッテリーが収納でき、オプションのマルチバッテリーアダプター(NPA-MQZ1K)には最大4個のZバッテリーが収納できる。 またUSBコネクターからの給電も可能で、非常に長時間の撮影にも対応できる。 推定小売価格:450ユーロ 発売予定:2019年8月 Sony a7R IV Vertical Battery Grip – VG-C4EM デジタルショットガンマイクロフォン ECM-B1Mは新しいデザインのデジタルショットガンマイクロフォンで、カメラ上部のMIシューに接続できる。エンクロージャの中ではデジタル信号処理の8つのマイクロフォンカプセルが搭載されている。これにより、全方向、カーディオイド/一方向、そしてハイパーカーディオイドの3方向の指向性を提供する。マイクの長さはわずか99.3mmだが、超指向性が特長だ。このマイクロフォンはMIシューを介してカメラに接続されているため、音声はデジタルで転送され、ノイズや劣化などがない高レベルの音質を実現できる。また、NC(ノイズキャンセリング)、LC (ローカット)、「OFF」を選択するスイッチもある。更に耐振動性も確保されている。 推定小売価格:380ユーロ 発売予定:2019年8月 Sony a7R IV – Digital Microphone XLRアダプターキット XLRアダプター、XLR-K3Mも発表された。これは、デジタルオーディオインターフェースをサポートするMIシューを介してカメラ本体に接続される。これにより、ECM-B1M同様、ノイズや劣化なしに伝送される。 MIシューから電源が供給されているため、電源ケーブルは必要ない。また、2系統のXLR / TRSコンボコネクターと、ラインおよびマイク入力用の1系統の3.5 mmステレオミニジャックも備えている。 推定小売価格:650ユーロ 発売予定:2019年10月 モデル比較 以下はαシリーズのモデル比較。 Comparison of sensor size and readout method for 4K shooting プロモーションビデオ 下はソニーが提供しているプロモーションビデオ。 Video: Sony | α | α7R IV | Unveil Video: Sony | α | α7R IV | Product Feature Video: Sony | α | α7R IV | 4K movie “Silhouette of Life – Yakushima” 印象 世界中の映像クリエーターや映画制作者がα7S IIIを待っている。以前のモデルα7S IIはすでにかなり古くなってしまった。α7S IIIの前にα7R IIIが発表されてしまった。α7R IVは、少なくとも10ビットで4K(4:2:2)を記録することはできないので、プロが使えるビデオ撮影用のカメラとしては該当しない。パナソニックやブラックマジックデザインがかなり先行してしまったようだ。 .
続きを読む2019.7.11 Mark Zdunnek
Kinefinityは中国のシネマカメラメーカーで、1年ほど前 MAVO LF 6K(3:2)カメラを発表して話題になった。今回はその包括的なレビューをお届けする。ARRI ALEXA LFやMini LFに代表されるように、「ラージフォーマット」がトレンドだ。今回は、MAVO LF 6Kの使い勝手や機能について詳しく報告する。 Kinefinity MAVO LF operated by DoP Mark Zdunnek Kinefinity MAVOおよびMAVO LFシネマカメラは、同じ画像処理プラットフォームを持ち、最新のカラーサイエンスと最先端のCMOSイメージセンサーで高度な色処理アーキテクチャを搭載している。 従来のMAVOはSuper35mmセンサーを装備しているが、このMAVO LFは6K(3:2)ラージフォーマットセンサーセンサーを搭載している。どちらも非常に低ノイズと高いダイナミックレンジを達成している。今回はKinefinity MAVO LFを使って実戦で撮影し、テストした。 撮影環境 具体的には、演奏会から商品撮影まで、数週間にわたって、実環境での撮影でテストした。ソニー、キヤノン、ブラックマジックデザインなどのカメラとの比較も行った。 基本機能とラージフォーマットセンサー MAVO LFを手にするとすぐわかるのが、1kg以下(本体のみ)と非常に軽量で、高解像度のシネマカメラの中では、Z Cam E2にも匹敵するほど最も軽量なシネマカメラのひとつだ。 MAVO LFの6K、あるいは4Kの画像は、デジタル的ではなく、かつ非常にシャープで、有機的で心地よい表現力を持つ。撮影監督の間では相対的な鮮明さについて常に議論が行われており、よりリアルで柔らかい有機的鮮明さを主張する監督もいるが、より正確なまたは超鮮明な画像を好む監督もいる。筆者は特に4K画像でよりシャープに見える映像を好む。 ラージフォーマットセンサーを搭載したMAVO LFは、46mmのイメージサークルの広い範囲をカバーし、鮮明な映像を映し出す。また、ラージフォーマットセンサーにより、被写界深度が浅くなるため、雰囲気のある映像を撮ることができる。36x24mmのサイズのセンサーは、Super35mmセンサーの約2.25倍の大きさを持ち、36.7 x25.54mmのARRI Alexa LFセンサーに近い大きさだ。 解像度、ダイナミックレンジ、アスペクト比 Kinefinityによると、ダイナミックレンジはソニーPXW-FS7を超えるとしている。実際使ってみるとブラックマジックデザインUrsa Mini Pro 4.6Kに近い14 stop以上に見える。 16:9と17:9(DCI)の標準アスペクト比に加え、6:5 Super35mm(アナモフィック記録用)、4:3、最大24 メガピクセルの3:2などメニューで選択できる。 重要な機能の1つは、MAVO LF 6K(6016 x 4016、センサーフォーマット3:2のネイティブ解像度)で最大75fps(6fpsから1フレーム単位で調整可能)、および4K/HFRで100fps(Wide、4096 x 1720px)、4K DCI で75fps(4096 x 2160px)で記録できること。これにより美しいスローモーションが得られる。 SideGrip, ergonomics, and connectivity on the backside of the Kinefinity MAVO LF モジュール式の構成 Kinefinity MAVO LFは、モジュール構成を採用した小型軽量なシネマカメラシステムだ。立方体でゴツゴツした形状は、REDカメラやZ Cam E2を彷彿とさせるもので、コントロールノブのほか、ステアリングホイール付きのサイドグリップもある。 モジュール設計の大きな利点は、ジンバルにも使用できることだ。今回のレビューではハンドルなどのモジュールを取り外すことでカメラを大幅に小型小型化し、Zhiyun Crane 2にも搭載することができた。 Split screen: MAVO LF on Zhiyun Crane 2 (left) and with 85mm T1.5 Walimex lens on a tripod (right) 操作性 パナソニックやキャノン、ARRIあるいはソニーのような大手のメーカーが作るカメラは、ある程度共通の操作性を持っており、ユーザーは基本的な操作を勉強しなくても使うことができる。 MAVO LFでも、その基本的な操作性は他のカメラを踏襲しており、特別な機能を除いては、すぐに使うことができる。 Kinefinity MAVO LF buttons and display (left side of the camera) マルチカメラ同期と電源 MAVO LFをマルチカメラで使用する場合は、同期を取るため、Tally、AutoSlate、Beeper、Trigger、KineBACK-W SMPTE LTCおよび3D / Multi-cam Syncを使うことができる。また電源に関しては、BP-U30互換のバッテリー「GripBAT」45WhをSideGripに収納することができる。このバッテリーで1時間以上稼働(スタンバイおよび録画)する。 RAW記録が可能 Kinefinity MAVO LFはさまざまなコーデックを使用して記録することができ、DaVinci Resolveなどでカラーグレーディングできる。特に、独自のKineRAW 2.0(.krw)(約2:1~10:1の圧縮率)とCinemaDNG(.cdg)(圧縮率3:1、5:1または7:1)での12ビットカラー深度は特筆される。特に広く使用されているCinemaDNGは設計する上で自由度が高く、標準化されたプロセスでワークフローを簡素化することができる。 今回収録したファイルは、Apple ProRes HQ4444(12ビット)を使っている。撮影で記録したファイルはAdobe Creative Cloudで問題なく処理することができた。このほかにも、ProRes422HQ / 422 / LT / Proxy、ProRes4444、ProRes4444XQが選択できる。 Kinefinity MAVO LF backside, connectivity and control buttons デュアルISO 前モデルMAVOとの本質的な違いは、新しいフルフレームセンサーだが、ISO800とISO5120のデュアルISOも大きな要素だ。また、同時にS/Nも改善されている。今回のテストでは、800、1600、2560、および3200のISO値を使用した。ISO 5120での画質は、用途によって使えるレベルだ。 HD、2K、4Kにダウンコンバートする場合は、より高いISO値を使用することもできる。センサーのピクセル間隔がMAVOより50%大きくなったため、感度も良くなっている。 MAVO LF handheld with Movcam top handle accessory 記録メディア 記録メディアは一般的なブランドのSSDを使用する。テストでは、Kinefinityによって認定されていないサムスン、サンディスク、Crucial、Transcendなど主要メーカーのSSDを問題なく使うことができた。ただし、高さ7mmまでのSSDしか使用できないので注意する必要がある。 なおSSDスロットは1つしかなく、リレー記録や同時記録はできない。 KineBACK-Wをオプションのアドオンモジュールとして使用する場合は、2系統の3G-SDIコネクター経由で外部のモニターに表示し、低解像度かつ制限されたフレームレートでレコーダに記録することもできる。現在は、フルクオリティでのバックアップや別のフォーマットでの同時記録はできない。 SSD stack with 1TB cards from SanDisk ポストプロダクション ポストプロダクションでは、画質は心地よい肌の色調が得られ、簡単にグレーディングでき、影のディテールとハイライトが低ノイズで表現された。 エラーとクラッシュ ソーシャルメディアでは、クラッシュとエラーについての質問がいくつか寄せられた。今回のテストでは数日間カメラを使用し、時には非常に埃っぽく、暑い環境だった。メニューでいろいろと回避したが、一度再現できない問題に見舞われた。 カメラ再起動したが、エラーメッセージはSanDisk SSDに記録することができないと表示された。SSDを交換すると解決し、問題のSSDには収録したデータが保存されており事なきを得たが、その後エラーは発生しなかった。 メーカーサイドとしては認定されたKineMAG + SSDの使用を推奨している。 SSDを使用しているため、サーバーへのコピーやSSDをそのまま編集する場合も十分に高速だ。更にSSDは独自仕様ではないので、安価に手に入る。ドロップフレームやその他の技術的なエラーは発生しなかった。 KineMOUNT フランジバックは15mmとかなり短く、このため多くのレンズをアダプターを介してマウントすることができる。 マウントはKinefinity TERRA同様オリジナルレンズマウントのKineMOUNT を使用している。 このマウントは、多くのマウントよりもフランジ距離が短く、ソニーのE-Mountが18 mmよりも短い。したがって、PLマウントアダプターやワイヤレスEFアダプター、あるいはKineEnhancer付きのEFアダプターや電子ND付きのEF / PLアダプター(e-ND)、FE / Eアダプターなどが用意されている。今回のテストでは様々なメーカーのEFレンズを使用したが、特に問題なく使用できた。 KineMON black and white display on the Kinefinity MAVO LF 操作性と要望 今回のテストでは、特にフォーカシング、合理的な露出機能、SideGrip(オプション)の操作性、そしてシャープネス調整に便利な白黒ディスプレイが印象に残った。 もちろん、幾つか改善の要望点もあるが、将来のバージョンアップに期待したいところだ。 もう一つの要求は、クリックホイールの感度と、操作性を他のカメラの一般的な方法に対応してほしい点だ。特にSideGripホイールの感度やプッシュボタン、スイッチ、およびホイールの操作性を洗練して欲しい。 またタッチスクリーン制御にすることにより、操作性が向上するだろう。 Split screen: KineMON-5L HD (left) and MAVO LF on Zhiyun Crane 2 gimbal (right) まとめ このカメラは、小型軽量で持ち運びが楽なうえ、ジンバルやドローンでも有用だ。解像度が高く鮮明な映像が収録でき、アスペクト比が自由に選択できる。ポストプロダクションでの処理も扱いやすい。 このカメラは独立系のプロダクションや、小規模なチームでの制作、あるいはセットアップに時間の余裕があったり、絶対の信頼性までは求めない撮影現場に適している。また従来のワークフローや完全に確立されたワークフローでなくても良い場合にも適しているだろう。標準化されたワークフロー上で処理しなければならない場合は、KineRAWよりもProResのワークフローの方が簡素化される。 6Kで撮影し4Kで配信する場合で、ソニーのVENICEやREDカメラを使用するバジェットが無い場合もKinefinity MAVO LFの選択が考えられる。 初めて使用する場合は、可能な限りテスト撮影し、操作についてよく理解しておくと良いだろう。今回の撮影では十分な事前トレーニングの時間が取れなかったが、少しの練習で、高品質の映像を撮ることができた。 Links: MAVO LF – Kinefinity
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